業績絶好調トレンドマイクロの今後の株価は?

 トレンドマイクロは4月20日、今12月期の第1四半期(2004年1〜3月)の好調な決算を発表した。今年に入って世界的なウイルス感染被害が拡大したことなどを背景に、予想以上に順調な業績推移となった。こうした業績の好調な推移を反映して株価も今年2月以降ほぼ一環して上昇トレンドを形成している。果たして今後の業績推移と株価の動向はどうなるのか。

 第1四半期の連結決算は、売上高136億円(前年同期比24.8%増)、営業利益51.4億円(同73.6%増)、純利益31.4億円(同80.5%増)となった。従来予想は、売上高122億円、経常利益38億円、純利益21億円だった。

 NetSky(文字化けメールを装いネットワークに進入し感染するウイルス)などのコンピュータウイルスが世界レベルで多くの感染被害を引き起こしたことで、同社のウイルス対策製品の需要が高まったことが、業績の大幅な増額修正の最大の要因といえる。特に欧州の企業向けと、日本国内の個人向けの高い伸びが全体をけん引するかたちとなった。

 また同社は第2四半期(2004年4〜6月)の業績について、売上高135億円(前年同期比19%増)、営業利益45億円(同57%増)、純利益26.5億円(同69%増)と予想している。常識的には、第1四半期のような大量のウイルス感染が発生することは見込まず、日本を中心としたコンシューマー向け市場は弱含む一方、米国・欧州向けは引き続き好調を維持、さらにアジア地域での回復を見込んでいる。

 営業利益率は第1四半期の38%から第2四半期は33%台へ低下する計画だが、これは研究開発、サポート部門およびチャネルマーケティング活動への投資を行い、販売管理費がやや増加するためだ。しかし、ウイルス感染が引き続き猛威をふるい、売上高自体が上方修正されることになれば、高水準な営業利益率が維持されることも十分考えられそうだ。

 こうした足元の業績好調を背景に、株価は2月10日の年初来安値の2795円を底に反騰に転じ、4月19日には4490円の年初来高値をつけている。わずか2カ月間に株価が60%もの急上昇を示したわけだ。しかし、株価は3月下旬に4000円台に乗せてからは上昇のピッチが緩やかになってきており、戻り待ちの売りが株価の頭を抑える状況になりつつある。また、今期の連結ベースでのPER(株価収益率)もすでに60倍近い水準にまで上昇し、割高感が急速に浮上している。

 外国証券のアナリストは「今後も新種のウイルスが登場して感染が広がるなどのタイミングで、折に触れて買い直されるケースはあるものの、株価面では好業績のかなりの部分をすでに織り込んできており、中期的には4000〜5000円のボックス相場で推移することになりそうだ」とコメントしている。

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