ハイテク株総反落のなかで、なぜ東芝の株価は頑強なのか

 主力ハイテク株の多くが短期急騰後の利益確定売りで、4月6日に直近の高値をつけて以来反落トレンドを辿っている。そんななか、東芝の株価推移の強さが異彩を放っている。4月27日に2004年3月期決算の発表を予定している東芝の株価の強さの背景を探った。

 ハイテク株の代表格である日立製作所、NEC、ソニーの最近の株価推移をみると、いずれも4月6日に直近の高値をつけて反落基調となっている。その高値と先週末16日の安値を比較すると、日立で約10%、NECで約8%、ソニーで約6%の下落率となっている。これに対して東芝の株価は、4月6日以降も上昇を続け、同日の高値499円から6.6%上昇し、14日には532円の年初来高値をつけている。

 ほとんどの主力ハイテク銘柄が4月6日を境に反落トレンドとなっているなかで、東芝が堅調な株価推移を継続している点について外国証券のアナリストは「基本的には、将来の収益回復への期待感と、過去1年間に主力ハイテク銘柄が大幅反騰相場となっているにもかかわらず、東芝の株価上昇率が比較的小幅に止まり、出遅れていたことが背景にあるのではないのか」と指摘している。

 その将来的収益回復への期待感に対する裏付けのひとつといえるのが、4月9日に発表された2007年3月期を最終年度とする中期経営3カ年計画だ。それによると、最終年度の連結業績は、売上高6兆2000億円(2004年3月期推定5兆6500億円)、同営業利益2800億円(同1400億円)を目標としている。

 東芝の社長、岡村正氏は、この目標を達成するために、キヤノンと共同開発を進めている薄型テレビを2005年度中に製品化するのをはじめ、携帯電話などに使用するNANDフラッシュメモリ(※)や携帯端末用の超小型HDD、ソニーと共同開発中の次世代システムLSIチップなどの新製品開発を積極的に進めていくことを明らかにしている。特に、キヤノンと共同開発を進めている薄型テレビは、SED(表面電解ディスプレー)と呼ばれているもので、従来の液晶やプラズマとは全く異なる省電力型の大画面技術として注目を集めている。同社では、2005年度中に同ディスプレー搭載の50型クラスの商品化を目指す。

 一方、赤字に転落しているパソコン事業では、1.外注の依存度を上げる(現在30%を50%に引き上げる)、2.国内工場を研究センター化して中国での生産を増やす(現在日本、中国、フィリピンに分散しているノートパソコンの生産について、中国・杭州工場の生産能力を年間300万台に倍増し集中を図る)、3.パソコンの製品種類を減らし、生産の効率化を進める、4.この事業部門の従業員数を500人削減する――などを断行して、遅くとも2005年3月期の下期にはパソコン事業全体としての黒字転換を実現するとしている。

 4月27日に発表される決算では、今期(2005年3月期)の収益予想が注目されるが、概ね9日に明らかにした中期3カ年経営計画に沿った内容になるものと想定される。株価はすでに、今回明らかになる今期の業績予想数値よりも、実際それがどの程度上方修正される可能性があるのかを織り込みはじめているようだ。

※ NANDフラッシュメモリ: 1987年に東芝が開発したフラッシュメモリ技術。磁気ディスクに代わってデータの保存・運搬などに利用することを主な用途としている。プログラムを収容するためのNOR型フラッシュメモリとは異なり、消去や書き込みの速度が速く大容量化に適した仕様となっているが、ブロック単位での読み書きしかできず、ランダムアクセスが遅いという欠点もある。

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