グラフィックプロセッサーユニット(GPU)の最大手であるNVIDIAは4月16日、新GPU「NVIDIA GeForce 6800」シリーズを発表した。価格は明らかにされていないが、前世代製品の「GeForce 5900」と同程度の価格レンジになる見込み。
GeForce 6800では、16パイプ・スーパースカラ・アーキテクチャを採用。前世代製品の8パイプから2倍のパイプ数になるだけでなく、パイプそのものの大きさも2倍になっている。メモリにはGDDR3メモリを採用し、前世代のGeForce FXアーキテクチャに比べて、8倍の浮動小数点シェーダ能力、4倍のシャドウ処理能力、2倍の頂点処理能力を備えている。
左からデスクトップGPUシニア・プロダクト・マネジャーのスティーブン・シムズ
氏、エンベデッド・ビジネス担当シニア・マネジャーの斎藤道雄氏 |
また、Microsoft DirectX 9.0(DX9) Shader Model 3.0をフルサポート。DX9の機能をフルに引き出すことができるGPUとなった。32ビットのシェーダ精度、ディスプレースメント・マッピング、ジオメトリ・インスタンシングなどのプログラマビリティを開発者に提供する。
NVIDIAデスクトップGPUシニア・プロダクト・マネジャーのスティーブン・シムズ氏は、「我々は5つのゴールを設定した」と語る。「まず、最速の性能を誇ること。つぎにDX9など全てのAPIに対応する技術の最先端であること。また、ビデオ品質においても最高のものであること。さらに、フォトリアリスティックなレンダリング能力を持つこと。そして、磐石の互換性や安定性を誇ること」という。Shader Model 3.0のサポートについては、「DX9登場時には、その機能を全て使えるGPUが存在しなかった。GeForce 6800こそが、全ての機能を十分に引き出すことができるGPUだ」とコメントする。
GeForce 6800では、ビデオプロセッサと3Dグラフィックスプロセッサの2種類のプロセッサが1つのチップ上に収められている。ビデオプロセッサの能力は、家電として売られているビデオ機に引けを取らないものとしており、「史上初のオンチップGPUビデオ・エンコーダだ」という。ビデオ処理エンジンは、MPEGビデオの符号化と復号のほか、Windows Media Video 9に対応している。さらにウインドウサイズに関わらず高品質なビデオ再生能力を持ち、TVに直接再生が可能な統合型TVエンコーダも搭載している。
GeForce 6800は、すでに量産体制に入っており、パートナー企業やOEMメーカーに向けて出荷される予定だ。GeForce 6800を搭載したグラフィックボードは45日間以内に出荷が開始されるという。
同社エンベデッド・ビジネス担当シニア・マネジャーの斎藤道雄氏は、「我々が対象とする製品エリアは、パソコン、ハンドヘルド、コンシューマーの3つに分けることができる」と語る。パソコン向けにはGPUの強みを生かしたメディアリッチな技術を提供する方針だ。また、携帯電話などのハンドヘルド市場は「今後5年から10年後においても最先端の技術を必要とするだろう」と分析。デジタル家電を中心とするコンシューマ分野においては、「まだ十分に成熟したとはいえない。マルチメディアとネットワーキングが融合した時、大きな展開が起きるだろう」と予測している。
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