モルガンスタンレー証券は13日付けの同社のレポートで、インターネットサービス業界の投資判断を引き下げたことを明らかにした。株式市場全体が活況で上昇基調となり、先高期待感が強まっているなかでの投資判断引き下げとあって、市場関係者のあいだで波紋を呼んでいる。
レポートによると「2000〜2001年の規制緩和を受け、我々はこれまでインターネットサービス主力銘柄に対する見方を強めてきたが、ここ数年間の持続的かつ大幅な株価の上昇(年初来平均80%超、前年比330%プラス)を受けて、同グループのバリュエーションの妙味が薄れかかってきている点に注意を促したい。したがって、株価の起爆剤が相対的に豊富であるにもかかわらず、市場に対して従来の業界投資判断※Attractiveから※In-Lineに引き下げた。主力株の長期成長見通しは明るさを増しているものの、新しいビジネスが順調に執行され、本格的に収益寄与するまでには時間がかかることを市場は再認識する局面に入ろう」とある。
また、インターネットサービス業界の今後について同レポートでは「インターネットサービス株は、もはや期待感が低過ぎる状況とは言えず、今後の展望の明るさはすでに大方株価に織り込んできていると判断される。だが、地政学的リスクや景気後退、為替相場にまつわるリスクに比較的左右されにくいことが、下値保護となろう」としている。
さらに、今回投資判断の対象となった主力銘柄の順位については「1.ソフトバンク、2.ヤフー、トレンドマイクロ、3.楽天」としている。ソフトバンクについては「向こう12〜18カ月の視野で、調査対象銘柄の中では、純資産価値(上場資産の価値プラス経常的なキャッシュフローを生み出している一部の未上場資産の現在価値マイナス純有利子負債)に対して大幅にディスカウント水準で取引されているソフトバンクが、相対的な上値余地が最も大きいと思われる」としている。また、ヤフーについては「インターネットサービスの中でも最も高採算な分野でヤフーのコア事業である、有料検索関連広告を含む広告事業が本格展開局面を迎えようとしている。景気改善がこれに拍車をかけていくことが今後予想される」としている。
今回のモルガンスタンレー証券のインターネットサービスの業界投資判断引き下げについて準大手証券のアナリストは「確かに、調査対象としている代表4銘柄の株価はTOPIXの推移に対して大幅な上昇(プラスかい離)を示している。したがって、基本的には今回の投資判断の引き下げには同意する。しかし、この4銘柄は個人投資家の人気が非常に高い銘柄であるのに加え、信用取引の取り組みなど市場内部的な需給要因も考慮すると、ファンダメンタルズだけでは想定できない意外な株価推移をみせる可能性も否定できない」としている。
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