それでもなお、PhoをはじめとするMLグループが、MLの運営方法を永遠に変える可能性のある重大な困難に直面していることは否定できない。
現在運営されているMLの数を予測することはほとんど不可能だ。専門家の指摘によると、数百万は間違いなく、数千万の可能性もあるという。MLでは、難解な科学に関する話題から最も下劣な性的内容を扱うものまで、考え得るすべての話題が網羅されている。規模についても、数万人もの読者を抱えるMLもあれば、読者がわずか数人というものもある。
現在深刻化している問題は、受信トレイを開いたことのある者なら誰もが身に覚えのあるものだ。この問題の主な原因は、バイアグラの広告やXXX写真などで受信トレイを埋め尽くす、大量のスパムメール。迷惑メールの山を掻き分けながら、メールで議論することは、多くの人間にとって大変な忍耐を要する作業だ、と専門家は指摘する。
しかしスパム攻撃対策は、同時にMLの衰退を助長する結果となった。多くのネットユーザーが定期的にメールアドレスを変えるため、使われていない送信先が数多く生まれてしまい、その宛先に送られたMLのメッセージは全てリスト管理者に送り返される。また、多くのユーザーがMLの購読用にウェブベースのメールサービスを利用しているが、これらはスパムや、場合によっては正当なメッセージによってもすぐに埋め尽くされてしまうため、送られてきたメッセージも送信元のサーバに送り返されてしまう。その結果、管理者の受信トレイも送り返されたメールで溢れ、それらを1通ずつ点検し除去するのに膨大な時間がかかることになる。
もう1つ問題なのが、スパムフィルターだ。人気の高いSpamAssassinなどのスパムフィルターを利用する企業は多い。スパムフィルターは日常的に、不特定多数の宛先に同時に送信されたメッセージを遮断するが、MLのメッセージを大量に送られた広告メールと見誤ってしまう。MLのメッセージが届いていないことや、場合によってはリストから完全に抹消されてしまったことを購読者が知る術はほとんどないに等しい。
深刻化しつつあるこれらの問題に直面し、多くのMLグループは運営形式をウェブの掲示板に変えるか、あるいはRSS(Really Simple Syndication)を利用したフィードにするなどの対策を講じている。RSSはコンテンツ配信用フォーマットでブロガーやニュースサイトなどが利用しているものだ。ニューヨーク大学の大学院でネットワーキングについての教鞭を執るインターネットの専門家、Clay Shirkyも、自身が運営するMLを全て休止し、RSSに乗り換えようとしているところだという。
「MLの存続可能性は急速に減少している。メールを直接読んでいる人は減少傾向にあり、通常のウェブやRSSフィードの方がより優れていることが明確になりつつある」(Shirky)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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