東京エレクトロン、業績上方修正でも株価が上昇しない理由

 東京エレクトロンは4月6日、2004年3月期の業績について、増額修正および期末での増配を発表した。ところが、翌日7日からの株価はこの好材料には反応せず、3日続落となってしまった。なぜ東京エレクトロンの株価はプラスに反応しないのか。

 発表された前3月期の連結業績予想は、市況の回復を要因に売上高を従来予想の5200億円から5270億円(前々期比14.4%増)、経常損益は同140億円の黒字から188億円の黒字(前々期は2億3000万円の赤字)、最終損益は同45億円の黒字から80億円の黒字(前々期は415億5400万円の赤字)にそれぞれ上方修正した。また、期末配当についても前回予想から2円増配し、6円配当(中間期4円で年間合計10円)にすると発表した。

 業績の上方修正と増配が発表されたにもかかわらず、なぜ東京エレクトロンの株価が反応を示さないのかを分析する前に、同社の今年に入ってからの株価推移を振り返っておきたい。全体相場がかなりの急ピッチで上昇を続けている中にあって、東京エレクトロンの株価は1月9日年初来高値の8560円をピークに下降トレンドとなり、3月24日の6350円という年初来安値まで約2カ月半にわたって26%の下落を続けた。その後はさすがに反転し、現在は7000円水準にまで戻している。

 つまり東京エレクトロンは、前期の業績が上方修正されるほどの好調ぶりに加え、今期の2005年3月期についても市場では「連結業績の売上高で前期推定比32%増の7000億円、経常利益で同3.4倍の640億円程度を見込んでいる」(準大手証券アナリスト)と、引き続き好調推移が予想されているにもかかわらず、全体相場の上昇に逆行して株価を下げているのだ。株価は一応底打ちしたものの、戻りは鈍い状態となっている。

 東京エレクトロンの株価の反応が鈍い背景について、外国証券のアナリストは「デジタル家電の好調による半導体増産に伴う半導体製造装置の前年度下期以降の受注拡大を先取り、東京エレクトロンの株価は昨年4月底値水準の4000円から同9月までに一気に2倍の8000円台へと急騰し、その後も8000円水準の高値を今年1月まで堅持していたという経緯があった。つまり、ほかのハイテク銘柄よりもかなり先行して株価が上昇していたことは確か。さらに、同社の株価は業績の推移よりも、むしろ半導体メーカーの足元の受注動向をリアルタイムで反映する半導体製造装置の受注高と連動する傾向が強い。昨年10〜12月の同社の受注高は1904億円と前年同期に比べ2.9倍にも達する水準に膨らんだ。多くの市場関係者は、これで受注は当面ピークを打ったと判断したようだ」と指摘している。

 その後、インテルなどが慎重な収益見通しを明らかにしたことや、3月中旬に発表された2月の北米地域半導体製造装置のBBレシオ(出荷額に対する額の割合)が1.14倍と、1月実績の1.19倍から悪化した点がクローズアップされ、売り材料として認識されたようだ。

 ただ、一方で新光証券の4月8日付けのリポートでは、「今回の半導体製造装置需要は息の長いものになる可能性が高いと考えられる。株価も調整を終え、ファンダメンタルズの好転を前向き評価すべきタイミングに来ている。東京エレクトロンに対する投資判断を“2マイナス”から“2プラス”に引き上げることとする」との前向きな見方も出ている。

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