Oracleは、同社が試みているPeopleSoftへの敵対的買収を認めるよう、欧州の独占禁止に関する規制当局を説得する試みを続けているが、この件に関して欧州委員会が開いた同社に対する聴聞会が終了した。
異議を申し立てる声明を先月発表していた欧州委員会は、2日間にわたって夜遅くまでオラクルの主張に耳を傾けた。同委員会は5月11日にこの件に関する判断を下す予定だ。
情報筋の話では、エンタープライズアプリケーション市場で首位に立つSAPや、複数の顧客企業もこの聴聞会で意見を述べたという。なお、SAPはこの買収には反対していない。
「通常こうした聴聞会は関係者だけが出席できるものだが、当事者である企業の反対がなければ、第三者の発言も許される」と、欧州委員会の元高官は語った。「これら(の第三者による公式な介入)は、介入を否定する説得力ある理由を審理対象の企業が提示できない限り、通常は認められる。また、審理対象の企業が他者の発言を拒めば、それがその企業の信用を傷つける」(同元高官)
SAPは当局の市場の定義に対する反対意見を示したかったと、SAPの広報担当者Herbert Heitmannは説明している。同氏によれば、SAPはこの市場は2つのセグメント--大規模な多国籍企業と中小企業--に分けて考えることはできないという。
「OracleとPeopleSoftの合併はかまわないが、『市場』の定義には関心がある」とHeitmannは述べ、「我々の(ソフトウェア)ソリューションは、小規模、大規模のどちらの顧客の要求にも応えられる」と付け加えている。
欧州の規制当局は、異議を示した声明の中で多くの懸念点を挙げていた。欧州委員会は、この買収が実現すると、大規模な多国籍企業向けの財務・人事管理用ソフトウェア市場における競合関係企業が3社から2社に減ると指摘。また、この市場への参入障壁はことさら高いと指摘するなど、2月にこの買収計画への反対表明をした米司法省と同様の主張を行っている。
欧州委員会がこの買収に対して不利な裁定を下し、さらに控訴審でも勝訴した場合、あるいは米司法省が6月7日に予定されている審理に勝ちこの合併を阻止することになった場合には、Oracleによる買収の試みは失敗に終わることになる。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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