Apex Digitalは、家電業界における「隠れた巨人」的存在だが、その同社が今年後半、家庭へのさらなる進出を目指して同社初のPCを投入する。
Apexの社長、Steve Brothersが米国時間17日に語ったところによると、50ドルのDVDプレーヤーなど、低価格家電製品に特化した同社は、いわゆるエンターテイメントPC(EPC)を今年後半にリリースすべく現在準備を進めているという。
EPCは機能をフル装備した家庭用コンピュータで、モニタの代わりにテレビを利用し、AV機器用の棚に収まるよう設計されている。EPCはビデオデッキと同じような形状をしており、DVDの録画再生、写真の表示、デジタル音楽の配信、テレビ番組の録画を行える。また操作はキーボードやマウスではなくリモコンを使って行う。
Apexは、米国家電製品業界でよく名の通ったブランドではないものの、最近急速に力を付けてきており、同社のEPCへの参入は注目を集めることになりそうだ。1997年創業のApexは、大幅な値引き、クリエイティブな製品統合、小売業者や受託メーカーとの密接な連携により、米国では家庭用DVDプレーヤーの販売台数で首位を争うようになった。
同社の年間売上高は2002年に10億ドルを越え、今年は売上高15億ドル以上という目標を設定している。だが、Apexに近い情報筋によると、同社には約80人の社員しかいないという。Brothersは正確な社員数を明らかにしていないが、社員数が100人未満であることは認めた。
IDCのデバイス技術リサーチディレクター、Bob O'Donnellによると、「Apexはどこからともなく忽然と姿を現した。同社は、中国や台湾の製造インフラを活用する典型的な例だ。そして、数多くの技術に関して価格破壊を行ってきた」という。
ApexはエンターテイメントPCのリリースに先立ち、5月にコンピュータゲームを動かせるDVDプレーヤー「ApeXtreme」の発売を計画していると、Brothersは述べた。ApeXtremeはEPCと似たパソコンのコンポーネントをベースにしているが、機能的な制限があるという。
Apexは、主に家庭用DVDプレーヤーの人気に乗って成長を遂げた。NPD Intelectのアナリスト、Stephen Bakerによると、同社は2003年、米国市場でのDVDプレーヤーの出荷台数でソニーに次ぐ2位に付けたという。ソニーの同年の市場シェアは10.9%で、Apexは10.4%だった。またテレビの販売台数も第7位に上昇した。同社はこのほかにも、デジタルカメラやホームシアターシステムなどの製品を扱っており、これらの製品はWal-Martのほか大型家電チェーンでも販売されている。
「パソコンのeMachinesとよく似たところがある。よく商品を絞り込んでいる。そして、結局小売業者とメーカーとの仲介役となった」(Baker)
Apexの成長の原動力となったのは製品の価格の安さだ。同社のDVDプレーヤーは通常49.95ドルから150ドルで売られている。こうした価格設定の影響も一因となり、名前の通った大手メーカー各社も値段を下げざるを得なくなった。
これに対し、Brothersは自社製品のほうが競合製品より安い点は認めたものの、それだけが自社の強みではないと述べている。他のどこよりも早くさまざまな機能を統合してきたことも、こうした強みのひとつだという。たとえば、MP3プレーヤーを統合したDVDプレーヤーやKodakのPhotoCDフォーマットと互換性のあるDVDプレーヤーをそれぞれ最初に投入したのはApexだった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向け に編集したものです。
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