「競争原理の押しつけは誤り」:米控訴裁、FCCの新電気通信規制を認めず

John Borland(CNET News.com)2004年03月03日 21時19分

 米連邦控訴裁判所は2日(米国時間)、地域電話会社に対し完全勝訴の判決を言い渡した。この判決は、最近行われた規制見直しに含まれる重要な規制条項を破棄する一方で、地域電話会社のライバル企業が反対して論議を呼んでいるブロードバンド規定は維持するとしている。

 コロンビア特別区の米国控訴裁判所は、今回の包括的な命令の中で、米連邦通信委員会(FCC)が地域電話会社に対し、それらの企業が所有するネットワークをAT&TやMCIといったライバル企業と共有するよう強制し、さらに電気通信事業の競争についての重要な決定を各州に押しつけたことは誤りだったと述べた。

 しかし一方で、大手電話会社には、光ファイバなどの技術を利用した自社の高度なブロードバンドネットワークを、潜在的競合相手と共有する必要はないとした規制当局者の言葉には正当性があると、同裁判所の判事らは述べた。判事らもFCCと同様、他の競合企業、たとえばブロードバンドサービスを提供するケーブルテレビが、次世代のブロードバンド回線利用者の利益につながる競争をもたらすことになると述べた。

 「設備の開放は、投資意欲を好ましくない方向に捻じ曲げる…ケーブルテレビからの競争によって、ブロードバンド業界における実質的競争の持続性が保証される」と控訴裁の判決には記されている。

 今回の判決と、同判決を導くきっかけとなった2003年のFCCの命令は、将来に向けた電話とインターネットの競争に関する基本原則の確立を目的としている。この原則が確立されれば、顧客が支払うべき金額、特定の業界で事業を行える企業の数、さらに利用できるサービスの種類などの決定に役立つ。

 しかし、1996年に米議会で電気通信法が可決されて以来、これらの規則が原因で論争や訴訟が次々に起こされてきた。FCCが、かつて地域電話会社の独占状態だった領域に強制的に競争原理を導入する規定を制定しようとするたびに、何年にも及ぶ訴訟や各方面からの激しい批判の嵐を呼んだ。

 昨年のいわゆる「Triennial Review」と題された命令書も全く同じだった。かつての大手地域電話会社は、命令書の中の、自社ネットワークをAT&Tなどの競合企業と共有するよう強制している部分について強い不満を示した。一方、小規模企業や消費者団体は、FCCのブロードバンドについての決定について、将来の高速ネットワークで競争が行われなければ、価格の高騰やサービスの低下を招く恐れがあると非難していた。

この記事は海外CNET Networks発の ニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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