オーストラリアの音楽業界関連団体が現地時間6日に、ピアツーピア(PtoP)ネットワークを運営するSharman NetworksおよびBrilliant Digital Entertainmentのオフィスや両社の主な幹部の自宅、さらに複数のISPを急襲した。
Music Industry Piracy Investigationsは、Murray Wilcox判事からいわゆる「Anton Pilar」命令を5日に取得し、PtoP企業の有罪立証につながる書類や電子的な証拠を求めて、クイーンズランド、ニューサウスウェールズ、ビクトリアの各州にあるそれぞれの建物を6日に急襲し、家宅捜索を行った。Anton Pilar命令は、裁判所が対象者に事前通告することなく、著作権を侵害する資料の捜査や押収の目的で、対象者の敷地に侵入することを著作権所有者に許めるもの。
Kazaaネットワークを運営するSharman NetworksやBrilliant Digital Entertainmentのオフィスに加えて、MIPIはSharman Networks CEO(最高経営責任者)のNikki Hemming、Brilliant Digital CEOのKevin Burmeister、そしてSharmanの技術ディレクターであるPhil Morleの自宅も急襲した。モナッシュ大学、クイーンズランド州立大学、およびニューサウスウェールズ州立大学、さらにはTelstraを含む4社のISPでも、緊急家宅捜索が行われた。
MIPIの事務局長、Michael SpeckがZDNetオーストラリアに語ったところによると、この命令は具体的にはKazaaネットワークの運営者に関する証拠収集を意図したものだったという。
「個々のユーザーを捕まえるのが目的ではなく、大物を狙ってのものだ。これはオーストラリアにおけるインターネットを使った音楽著作権侵害の終焉を意味する」(Speck)
Speckによると、Kazaaネットワークに対する捜査は6カ月前から続いていたが、Sharmanの物理的および技術的なインフラの変化によって一気に加速したのだという。「Kazaaの業務はオーストラリアの著作権法に触れ、著作権を侵害している」(Speck)
これに対してSharmanは、MIPI側の主張を正面から受けて立つ構えを見せた。
「この問題は、過去18カ月にわたり米国・オランダの両法廷で充分な検討が加えられ、判断が出されてきたものであり、従ってMIPIの今回の行動は、時間、金銭、リソースの途方もない浪費に思える」と同社は声明のなかで述べている。「これはSharman Networksおよび Kazaaソフトウェアの信用失墜を狙うレコード業界の条件反射的な反応だ。世界各国の法廷では最近、ピアツーピア(PtoP)技術撲滅を狙うエンターテイメント業界の計画に不利に働く判断が数多く下されており、MIPIの行動はこうした判断に反応したものといえる」(同声明文)
Sharmanは2002年、Kazaaをつくったオランダの会社Kazaa BVから、このPtoPファイル交換技術を購入したが、その時以来音楽業界のターゲットとなっている。同社にはBrilliant Digitalとの間に長い関係があり、2002年にKazaaのなかにスパイウェアを仕組んだことが発覚した際には、このことへの反発から身を守らなくてはならなかった。同社は、後にBrilliant DigitalはAltnetという子会社をつくり、Kazaaのネットワーク上でコンテンツをホストするユーザーに対して支払いを行うようにした。
「Kazaaのオペレーターには、自らの提供しているダウンロードが合法的なものかどうかの違いがわかる。彼らがグローバルな著作権侵害活動に手を貸し、またそれに是認していることは、非常にはっきりしている」と、MIPIのSpeck は語った。
これに対してSharman側は異議を唱え、「Kazaaソフトを購入したのは、ライセンス供与を受け、著作権で保護されたコンテンツ用の合法的な流通チャネルをつくりだすという、明らかな意図があったからだ」と主張している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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