オープンソースの開発ツールプロジェクト、Eclipseは、同プロジェクトを創設したIBMからついに独立した。
数カ月前から予想されていた通り、Eclipseは2月2日(米国時間)、非営利企業に移行し、新たに理事会を結成したことを発表した。新理事会にはHewlett-Packard(HP)、IBM、Intel、Ericsson、MontaVista Software、QNX Software Systems、SAP、Serena Softwareの各代表者が参加する。
今後数週間中にエグゼクティブディレクターを選出することが、理事会の最初の課題の1つとなるだろう、とEclipseの会長から退くIBM幹部、Skip McGaugheyは述べている。Eclipse独立の発表は、現在カリフォルニア州アナハイムで開催中のEclipse技術カンファレンス「EclipseCon 2004」にタイミングを合わせて行なわれた。
Eclipseの独立化によって、IBMの競合会社を含む他のソフトウェアプロバイダがEclipseに参加しやすくなることから、同プロジェクトの影響力が高まる可能性がある、とアナリストらは指摘している。
しかし、Forrester Researchのアナリスト、John Rymerは、独立後のEclipseグループが、Javaツール業界での影響力を拡大する上で、今後も大きな困難に直面していくだろうと述べている。新グループは複数の企業が運営することになるが、ボランティアのプログラマがコードやアイディアをプロジェクトに提供することも多い、オープンソースの文化を守っていかなければならないと、Rymerは語った。
新しいエグゼクティブディレクターは、「(オープンソース)文化を守りながら、変更を行いつつも、これまでに成し遂げたことを損なわないようにしていかねばならないだろう」(Rymer)
Eclipseの新理事会はこの他にも、Java Community Processが現在取り組んでいるJava標準化計画との関わり方や、Java Tools Communityと協力するかどうかなどを検討していかねばならない。Java Tools Communityは、Java開発ツールの相互運用性実現を推進する目的に結成された団体だ。
もともとJavaをつくりだし、現在もこれを管理しているSun Microsystemsは先週、Eclipseの参加企業に書簡を送付し、Java標準が分裂化し、各標準間の互換性が失われることのないよう、Eclipseに他のJava企業と協力し合うことを強く求めた。
あるアナリストは、Sunのこの書簡を「政治的行為」と呼んでいる。Sunは独自のオープンソースJava開発プロジェクト、NetBeansに多大な投資を行なっている。一方IBMでは、Eclipseのコードを同社のツール戦略全体のベースとしている。
「(Sunは)Eclipseの独立化がどのようなものなのか、探りを入れているのだ」とMeta Groupのアナリスト、Thomas Murphyは語った。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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