松下電子部品、日立化成にプリント配線板技術を供与

永井美智子(CNET Japan編集部)2004年01月26日 21時04分

  松下電子部品は1月26日、日立化成工業に対し、同社が開発したビルドアッププリント配線板「ALIVH(アリブ)」に関する技術供与を行うと発表した。ALIVHの事業拡大を図りたい松下電子部品と、プリント配線板材料事業の高付加価値化によってビジネスを拡大したい日立化成の思惑が一致したもの。日立化成は2005年上半期までに、同技術を元にした製品の量産化を図る。

  ALIVHとは、松下電器産業と松下電子部品が開発した樹脂多層基盤。現在国内の携帯電話機向けプリント基板では約60%のシェアを握っている。1999年に生産を開始し、2003年12月末までの累計出荷台数は携帯電話機換算で1億4000万台以上という。

松下電子部品 モジュールデバイスカンパニー 回路基盤ビジネスユニット ビジネスユニット長の松本一博氏

  松下電子部品は1997年に、ALIVHに関してプリント基板業界大手の日本シイエムケイ(日本CMK)と事業提携を行っており、国内では2社による供給体制を取っていた。日立化成は従来、松下電子部品に対して材料の基材プリプレグ(多層プリント配線板用の接着シート)を供給していたが、今回の提携によりALIVHベース基盤の中間材の製造、販売までを手がけることとなる。ALIVHベースの中間材の販売は「今回が初めて」(松下電子部品 モジュールデバイスカンパニー 回路基盤ビジネスユニット ビジネスユニット長の松本一博氏)という。

  今回の提携について日立化成工業 配線板材料事業グループ 電子基材事業部門 部門長の石川譲史氏は「付加価値の高い配線板材料が市場に出されることで、配線板メーカーは高密度実装と工程短縮の両立が可能になる」とメリットを語る。また、松下電子部品の松本氏も、「これから世界規模でALIVHの市場を拡大していくには、材料を含めて供給量を増やすことが必要だ」と日立化成との提携の狙いを説明した。

  日立化成では、2004年9月のサンプル出荷を目指し、試作開発を行う。その後、2005年上半期をめどに量産化の体制を整える予定。販売先はまず松下電子部品と日本CMKの2社となるが、体制が整い次第プリント配線板メーカーへも納入していく。ただし納入先の大半は国内となる見通しだ。2005年度におけるALIVHベース基盤の売上目標額は20億円。なお、2002年度における日立化成のプリント配線板材料事業の売上高は連結で200億円という。今回の契約に関するライセンス料の金額については、コメントを得られなかった。

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