Microsoftウォッチャーらは、もう何ヶ月もの間、同社のYukonデータベースソフトの発売延期によって、Windowsの次期バージョンLonghornなど、同社の他の製品の発売予定も狂う恐れがあるとの懸念を表明している。
しかしMicrosoftの幹部はこうした見方に異議を唱えている。同社は、Yukon発売の遅れが今後の他の同社製品に影響を与えることはない、とCNET News.comに語った。
また同社は、この新ストレージ技術の構築について、その難しさを初めて説明した。このストレージ技術は、10年以上前からMicrosoft会長Bill Gatesのお気に入りプロジェクトで、同社が今までに取り組んだなかで最も野心的、かつ最も時間のかかるプロジェクトの1つとなっている。
「Microsoftは、あらゆる製品で利用できる、1つの統一されたストレージ技術を夢見ている」と同社のプロダクトマネジャー、Stan SorensenはCNET News.comに語った。「私はMicrosoftで10年以上もサーバ開発に携わっているが、その間ずっと、これを実現しようとし続けてきている」(Sorensen)
MicrosoftのSQL Serverデータベースの次期アップグレードであるYukonでは、このストレージに関するコンセプトが初めて導入される予定だ。このストレージ技術は、最終的に同社の主要製品のほぼすべてに影響を与える、巨大なプロジェクトとなっている。
このストレージ技術によって、データタイプ同士の違いが曖昧になり、ハードディスクやネットワークコンピュータ内に散在する文書や電子メールメッセージ、マルチメディアファイルなどの検索がはるかに容易になる、とMicrosoftは説明している。
YukonやLonghornだけでなく、同社のExchangeメッセージサーバ(コード名Kodiak)も、新ストレージ技術を採用する。これら3製品はいずれも、2006年発売予定だ。Microsoftはまだ、これ以外のどの新製品で新ストレージ技術を採用するかを明らかにしていない。「非常に多くのMicrosoft製品がSQL Serverを使用しているので、依存関係がどれだけ存在するか把握するのは難しい」と米Directions on Microsoftのアナリスト、Chris Alliegroは言う。
業界ウォッチャーの多くは、この新ストレージ技術を利用する製品では、同じコードが使われると予想していた。だがSorensenは、新ストレージ技術を採用する製品のコードは共通ではなく、Microsoft内の各製品グループが、共通の設計仕様に基づいてそれぞれのストレージシステムを構築する形になると述べ、Microsoftの計画に関する謎の一部を払拭した。
YukonとLonghornは「開発チームも、開発スケジュールも異なる、完全に別々のプロジェクトなので、スケジュール遅延の影響はない。Longhornには、Yukonの遅れの影響は全くない」(Sorensen)
たとえば、Yukon、Longhorn、Kodiakは「共通のデータスキーマ、データ同士を関係づける共通のやり方、そして共通のクエリの方法を使うようになる」と同氏は語り、さらに「かなりローレベルのコードには共用されるものもあるが、しかしそれは何年も前に完成したものだ」と付け加えた。
Longhornに採用予定の新たなファイルシステム「WinFS」に関しては、実際にSQL Serverのデータベースエンジンが含まれるのではないかとの憶測が、以前には出されていた。
Microsoft側の説明も、この混乱に輪をかけかねないものだった。「我々は、このYukonバージョンのSQL Serverの開発を進めながら、『よし、このなかには、Longhornの使える部分がある』と考えた」と、Gatesは10月にCNET News.comに述べていた。
「YukonがWinFSのなかに組み込まれるとの印象を抱いている人間はとても多い。そしてMicrosoftはこうした印象を払拭しようとしはじめている」とAlliegroは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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