電子情報技術産業協会(JEITA)は9日、企業間コラボレーションを実現するEコマースの新標準、ECALGA(Electronic Commerce ALliance for Global business Activity)プログラムについてのセミナーを開催した。ECALGAとは、日本の電子機器・部品業界が主導するかたちで企業間の全ビジネスプロセスを電子的につなぎ、経営の効率化を目指すための標準化活動とその標準の名称。ECALGAのコンセプトの説明には、日立製作所の矢野晴一氏があたった。
矢野氏によるとECALGAのコンセプトは、企業間のみならず、業界や国などすべての壁を越えてビジネスプロセスをグローバルかつシームレスにつなぎ、ダイナミックなビジネス展開を可能にするもの。ECALGAというビジネススタンダードを採用することで、経営効率の向上と企業間コラボレーションの範囲が拡大できるという。
「これまでは大量データ交換の自動化のみを実現するだけでよかったが、これからは業務の自動化が必要となる。また、逐次的に業務を行う時代から、複数業務が同時に並列して行われる時代へとパラダイムシフトが起こっている。このような状況化で、全ビジネスプロセスを電子化し、企業間業務をシームレスに連携することが重要となる」と矢野氏は説明、これらの連携業務が実現することで企業は、「明確な事業戦略に基づくビジネスモデルを構築することができ、コアコンピタンス領域へリソースを集中させることができる」と語る。
日立製作所、矢野晴一氏 | |
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ECALGAでは、主に2つの分野で標準化を進めるという。それは、ビジネス上の取り決めにおける標準化と、情報システム技術の標準化だ。ビジネス上の取り決め部分では、取引規約やビジネスプロセス、ビジネス文書などを規定し、業務モデル別に運用シナリオを用意してパターン化させることで、どの企業同士が連携を行う場合でも同じ方法でスムーズなコラボレーションが実現できる。また、情報システム部分では、BtoBのデファクトとなるような標準技術を採用する方針で、現在ebXMLをベースとした標準作りを進めているという。
矢野氏は、「ビジネス上の取り決めを標準化することで、業務の複雑化を回避することができ、情報システム技術の標準化で、IT投資を軽減できる。企業間を横断して実用化できるため、個別の調整作業を削減することもでき、事業の素早い立ち上げが可能だ」と標準化のメリットについて説明する。
これまでECALGAの実証実験は3度ほど行われ、来年には京セラ、シャープ、東芝、NEC、日本ビクター、日立製作所、富士通、松下電気産業などを含む多くの企業が先行導入を予定しているという。また、大企業だけでなく中小企業での導入も配慮し、今後ASPやウェブを使った簡易な方式も提供する予定だという。さらには、海外との取引においても活用できるよう、海外の標準化団体とも業務標準の調整を進めており、来年3月までに海外取引の標準を策定するという。
今後のECALGAは、次期EC機能も視野に入れ、ロジスティクス分野で業際輸送荷札の標準化において連携するとともに、トレーサビリティや環境面における情報共有も進めるため、「消費者も含めた他業界との連携を進める」と矢野氏は述べた。
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