書店から脱皮するアマゾン、日本進出3周年でチャン社長会見

山岸広太郎(CNET Japan 編集部)2003年11月06日 19時31分
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 オンラインストアの「Amazon.co.jp」を運営するアマゾン ジャパンは11月6日都内で記者会見を開き、日本進出3周年の報告と、5日に開始した「ホーム&キッチン」ストアの説明を行なった。

 外資系ネット企業の日本法人で成功している例は少ないがアマゾン ジャパンの業績は好調のようだ。日本でのサービス開始2年後の2002年第4四半期(10-12月)には営業利益ベースでの黒字化を達成。アマゾンの海外サイトの中で最も早い成長だという。2003年第3四半期までのアクティブカスタマー(過去12カ月以内に1回以上買い物をした客)は200万人を越えるという。

 アマゾン ジャパン 代表取締役社長のジャスパー・チャン氏はAmazon.co.jpが日本で成功した理由について「我々は顧客の満足するものを具体的に提供してきた。1つはセレクション。書籍から音楽CD、DVDソフト、ゲーム、家電製品、そしてホーム&キッチンへと取扱商品のカテゴリーを拡大しカテゴリー内の品揃えを充実させてきた。もう1つが、ユーザーへの利便性を拡大するためのウェブサイトへのテクノロジー投資だ。おすすめ機能やパーソナライゼーション、カスタマーレビュー機能などの開発に資金を投入してきた。また1500円以上配送料無料などの低価格戦略も有効だった」と述べた。

アマゾン ジャパン
代表取締役社長、
ジャスパー・チャン氏

 Amazon.co.jpの成長はインターネット視聴率のデータにも現れている。インターネット視聴率調査会社のネットレイティングス 代表取締役社長の萩原雅之氏によると「2003年9月の1カ月間にAmazon.co.jpを訪れた人の数は626万人で前年同月比で74%も増加している。一方、同じ期間に楽天を訪れた人の数は804万人(前年同月比39%増)だ。Amazon.co.jpの場合、全インターネットユーザーへのリーチが2002年9月の14.1%から2003年9月は22.6%に拡大しており、インターネット人口の増加率以上にユーザーが増えていることがうかがえる」という。


非メディア分野を拡大させるアマゾン

 アマゾンは日本での売上規模や個別のカテゴリーの売上比率については公表していないが、世界全体での書籍やソフトなどのメディア商品とそれ以外の家電や洋服などの非メディア商品の売上比率を公表している。それによると非メディア商品の売り上げは約20%に達しており、「世界的に見てこの分野は成功している。日本でも非メディアのカテゴリーを増やしてきたい」とチャン氏は言う。

 アマゾンが掲げる企業としてのゴールは「地球上で最も豊富なセレクション(品揃え)」を提供し「地球上で最もお客様を大切にする企業であること」だが、非メディア分野への拡大は、当初のオンライン書店という位置づけから、楽天やヤフーと競合する総合オンラインコマース企業への道を進むことになる。

 この点に関してチャン氏は「非メディア分野は潜在的な市場規模が大きくまだまだ伸びる。この分野では複数のプレイヤーが存在可能だと考えており、我々はそのプレイヤーの1人でしかない。楽天さんには楽天さんの良いところがあり、アマゾンにはアマゾンの強みがある。自分たちのゴールを追求するだけだ」と排他的な競争ではないという認識を示した。

 楽天との違いとしてチャン氏があげたのは、楽天のように小売店を集めるモール型のビジネスではなく、アマゾンでは自分たちが仕入れて小売店として売るというモデルとマーケットプレイスというモール型のモデルを組み合わせている点。実際、今回のホーム&キッチンでも象印マホービンやジレットジャパン、ツヴィリング J.A.ヘンケルスジャパンなどから直接仕入れて自社で販売する一方、単価が高く仕入れリスクの大きい照明器具に関しては自社で手がけず、マーケットプレイスにヤマギワが参加するという形態を取っている。

アマゾン ジャパン プロダクトマネージャー、岩井直文氏

メーカーサイドから見た違い

 商品を提供するメーカーサイドから見ても楽天とアマゾンは違うモデルと映っている。メーカーの担当者によれば、既存の小売店舗におけるキッチン用品販売の課題は、品揃えと提供できる情報の量が少なかったことだ。

 例えば、「一般的な小売店舗ではメーカー側が持っている品揃えの数パーセントしか取り扱うことができず、カタログを見た消費者からコールセンターに取り扱い店舗の紹介を依頼されても近くの店を紹介できないケースがあった」と会見に同席した象印マホービンの担当者は語った。Amazon.co.jpのホーム&キッチンでは象印マホービンだけでも300点以上の商品を扱っており「一般店舗では満たせなかった顧客ニーズに対応できる点が魅力。他のコマースサイトでは通常の小売店が当社から仕入れて出品しているケースが多くこうはいかない」(象印マホービン)という。他にも「通常の店舗では伝えきれない製品情報を掲載したり、ユーザーレビューなどの声を集められる点にも期待している」(ツヴィリング J.A.ヘンケルスジャパン)という意見や「オーダーから24時間以内発送というモデルは電動歯ブラシの換えブラシなどのリフィル商品に向いている」(ジレットジャパン)という意見が聞かれた。

 「ホーム&キッチン」ストアの責任者を務めるアマゾン ジャパン プロダクトマネージャーの岩井直文氏によれば「オープン初日の売上について数字は公表できないものの予想以上の成果だった」という。

書籍全文検索も検討中

 なお、10月23日に米国で公開され注目を集めている書籍の内容を検索する「サーチインサイドブック」機能に関しては「日本でも導入を検討しており技術的な準備は進んでいるが、今後出版社との間で権利関係の調整が必要だと考えている」(チャン氏)という。

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