UNIXベースのハードおよびソフトウェアの販売、システムエンジニアサービスなどを手掛けるニイウスの株価が、株式分割後に急騰をみせている。IT関連株物色の流れに乗ると同時に、折からの株式分割銘柄人気も手伝って、依然として先高期待を持続している。市場関係者の一部からは「ニイウスの株価本格上昇はこれから」との見方も浮上している同社株価の今後の動向を探った。
ニイウスの株価上昇のきっかけとなったのは、9月1日に発表した9月30日付けでの株式分割の実施だった。その株式分割は、9月30日現在の株主に対して、従来の1株を2株にするというものである。
株式分割発表前の9月1日の終値42万4000円から株価はジリ高傾向をたどり、分割権利付き最終日の24日に株価は46万6000円にまで上昇した。そして、分割権利落ちの翌日25日の終値は24万3000円となった。その翌日から急ピッチでの上昇となり、30日には33万5000円の年初来高値(株式分割後)をつけた。
市場関係者は「今回の9月末株式分割ではヤフーをはじめ、ワコム、インボイスなど新興市場の人気銘柄を中心に株価が権利落ち後に急騰する傾向が際立っている。そうした相場環境のなかで、ニイウスも東証1部上場企業としては珍しい1株を2株にするという大幅な分割ということもあり、買い人気が集中したようだ」としている。しかし一方では、ニイウスの株価上昇は単に株式分割銘柄人気に乗っただけではなく、今後の事業展開の将来性を評価した息の長いものという見方もある。
外国証券のアナリストは「ニイウスの強みは大型サーバと基本ソフト、データベースなどのミドルウェア。開発ツールの要素技術の蓄積が進んでおり、IBM製ソフトウェアからハードウェアまで豊富な技術をもっている点にある。また、多数の金融機関向けに大規模クライアントサーバシステムを開発した実績があり、システム設計・開発ノウハウを保有している。今年の末以降、メガバンクのシステム投資が活発となることが見込まれているが、金融機関向けオープンシステムのインフラ基盤構築に関して業界内で確固たる優位性を確立していることで、恩恵をフルに享受できそうだ。野村総合研究所、伊藤忠テクノサイエンス、富士通サポートアンドサービスなどの株価急騰と比べれば、時価水準でも依然として出遅れ感が顕著で、今・来期30%超の増収経常増益が見込めるだけに、積極買いで臨みたい」と、さらなる株価上昇を見込んでいる。
同社の2004年6月期の連結業績は、売上高600億円(前期比18.8%増)、経常利益37億2000万円(同48%増)、純利益20億円(同55%増)と見込まれているが、上方修正の可能性も高まっている。また中期計画では、2008年6月期の連結業績で、売上高1000億円、経常利益70億円という数値目標だが、同社のSE教育育成能力は他社を圧倒しており、同社のシステムが先を行く状態にある。SEの成長で中期計画達成は十分可能との見方が一般的だ。
ただ、株価の上昇が8月半ばからわずか2カ月足らずの間に実質2倍にまでハネ上がった現状を考慮すると、今後は短期間で一本調子の上昇を期待することは難しいと思われる。中・長期的視野に立った投資スタンスが必要だろう。
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