米Wind River Systemsは、さまざまな電子機器を動かすソフトウェアの販売を手掛けているが、このほどLinux起動マシン用のソフトウェア製品を構築したいと考えているプログラマに向けた開発ツールを発表した。
同社は米国時間2日に、組み込みLinuxをサポートするための初めての取り組みを発表した。組み込みLinuxはオープンソースのLinux OSの1つで、携帯電話、PDA、医療機器のような小型デバイスや、その他さまざまな応用目的にあわせてカスタマイズされている。
組み込みLinuxは、いくつかの市場で、Wind Riverの開発するVxWorksという組み込みOSと競合しているが、同社は流れに逆らうよりも、流れに乗るほうを選んだようだ。
「ここ数年の間に、多くの企業が社内開発にあたって、Linuxに移行してきている。これは我々にとって、Linux市場に開発ツールを提供するという、大きなビジネスチャンスを意味する」と、Wind Riverプロダクトビジネス担当バイスプレジデント、David Fraserは述べた。
Fraserは、同社のこの動きが、停滞している販売に活を入れることを期待している。同氏によれば、停滞の理由は、電子機器でのLinux利用が増えたためではなく、通信市場に問題があるからだという。
「通信市場は、我々のビジネスの70%以上を占めていた」と同氏は述べ、直近の四半期で同市場の売上が31%も落ち込んだと付け加えた。Wind Riverの2003年上期の売上げは9900万ドルで、前年同期の1億3000万ドルから大きく減少している。同社の年間売上のうち、ツールセットからの収益は約3000万ドルだと、同氏は説明した。
Wind Riverでは、ハードウェアシステムをエミュレートするVisionProbe IIというツールを拡張して、Linuxをサポートする計画で、将来はさらに多くのツールを発表すると約束している。同ツールは、まずIBM PowerPC 405プロセッサファミリーで動くLinuxをサポートし、今期末までにはそれ以外のIBM製プロセッサやMotorola製PowerPCチップをサポートする予定。また、将来的にはMIPS Technologies製プロセッサのサポートも計画している。
テクノロジー調査会社の米Evans Dataが、今年3月に発表した調査によれば、対象となった開発者の半数以上が、現在または次回のプロジェクトでLinuxの採用を検討しているという。
同時に、これらの開発者に向けて、さらに優れた開発ツールを販売するビジネスチャンスがあるというWind Riverの主張を、この調査が裏付けてもいる。組み込みLinux用の開発ツールを「よい」または「すばらしい」と評価したプログラマは、4人に1人しかいなかった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス
住環境に求められる「安心、安全、快適」
を可視化するための“ものさし”とは?
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
「程よく明るい」照明がオフィスにもたらす
業務生産性の向上への意外な効果