米IBMが米Pricewaterhouse Coopers Consultingを買収してからまる一年が経つが、この記念日をIBMは幸せな気持ちで祝っている。
1年前の10月2日(米国時間)、IBMは大手会計事務所Pricewaterhouse Coopers(PwC)のコンサルティング部門買収を完了した。IBMは、PwC Consultingから移籍した従業員約3万人と、IBMのコンサルティング部門で働く約3万人を一緒にして、Business Consulting Servicesという部門を新設した。PwCの買収と新部門創設の背景には、IBMの持つテクノロジー分野での優れた能力とPwC Consultingのビジネスに関する専門知識を組み合わせて、収益を生み出すという考えがあった。
「私にとっては、今日はエキサイティングで満足感あふれる記念日だ」とIBM Business Consulting ServicesのマネージングパートナーGinni Rometty。「私たちのビジョンが実現したのだ」(Rometty)
米IDCのアナリスト、Katrina Menzigianによると、PwC Consultingは、ビジネスプロセス・アウトソーシング(Business Process Outsourcing:BPO)という新しい分野で、IBMのビジネスに貢献しているという。BPOとは、企業がカスタマーサービスや人事管理などの業務を外部委託するものだ。
IBMは2日、金融サービス企業の米Lincoln Financial Groupとの間で、新たにBPO契約を結んだと発表した。この10年契約に基づき、IBMは人事、給与、医療保険の管理に加え、Lincoln Nationalの代わりにカスタマーサービスの責任を負うことになる。これは、IBMが今年発表した米Procter & Gambleとの類似の契約に続くものだが、P&Gとの契約では、同社の福利厚生をIBMが請け負うことになっている。
IBMは、これらの契約から得られる金額を開示していない。しかし、PwC ConsultingはIBMの収益を大きく押し上げている。昨年度の第4四半期、IBMのグローバルサービス部門からの収益は、前年比17%増の106億ドルとなり、IBMは、この収益増にはPwC Consultingの買収が寄与したと述べた。2003年度の第2四半期にも、グローバルサービス部門の収益が再度106億円に達し、前年比23%を記録した。IBMはここでも、売り上げ増を実現できたのは、買収前にPwC Consultingが手がけていたビジネスのお陰だと述べている。
しかし、今回の買収にも難しい問題はあったとアナリストは言う。米American Technology Researchの株式アナリスト、David Garrityによると、新部門設立の初期段階では2社の間に衝突があったという。「当然予想されていたことだが、両者の衝突は実際にあった」と同氏は語ったが、ただし過去3カ月から6カ月の間には、統合に関する問題があったという話を耳にしていないと付け加えた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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