光通信はなぜ個人投機家のアイドル銘柄なのか

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

 株式市場において、光通信株をめぐる個人投機家の空中戦が繰り広げられている。9月に入ると同時に株価が突如急上昇し始めたことに加え、たった1日のうちで株価が約20%もの驚異的な幅で乱高下するなど、刺激的なジェットコースター相場が一部のマニアックな投機家の人気を集めているようだ。

 光通信の株価が目立って上昇しはじめたのは、9月に入ってからだ。3000円台前半であった株価が、11営業日連騰などを含めて1カ月足らずで2倍以上に急騰し、9月24日には7980円の年初来高値をつけた。そして、その年初来高値をつけた24日の安値は前日比800円安の6500円まで売られる一方で、逆に高値は同680円高の7980円まで買い進まれるという乱高下をみせた。

 こうした異常ともいえる値動きの激しさについて市場関係者は、光通信がオンライン証券を利用したいわゆるネット個人投資家のアイドル的な存在となっていることを指摘する。「こうした波乱展開を発生させる銘柄の条件としては、事業内容自体に“急成長か破たんか”といった博打的な要素があること。また、将来的な業績の見通しについても強弱感が真っ向から対立していること。さらに加えれば、銘柄の持つイメージに多少の不良っぽさが感じられることなどがある。4月以降の反転上昇相場で資金量にやや余裕の出てきたことが、投機性の高い銘柄に向かわせるという傾向も見逃せない」

 今年になって光通信が市場の関心を集めるきっかけとなったのは、野村証券金融研究所が4月11日付のレポートで、光通信の投資判断を「2」(やや強気)とし、投資対象として調査を再開したことにあった。このレポートでは、同社の携帯電話販売事業の下げ止まり、複写機販売など法人事業の台頭、財務・信用リスクの軽減などを指摘、「ファンダメンタルズは改善してきている」としている。

 さらに、9月に入ってからの株価上昇の理由として市場からは、「ベンチャー企業への投資というベンチャーキャピタル的なビジネスモデルから、(携帯電話の販売に加えて)シャープのコピー機の販売といった小売業への本業回帰が進んでいることを評価している」といった見方や、「『日経ビジネス』(9月1日号)で『猛烈営業への回帰』というタイトルで光通信が特集されたことも話題になっている」という声まできかれる。その「日経ビジネス」によると、約2300億円あった有利子負債が財務リストラで実質無借金となっていること、ベンチャー投資から撤退し、携帯電話販売とOA機器販売に経営資源を投入していることが報じられており、「売った者勝ちの猛烈営業が、再び唯一の価値観になりつつある」としている。

 ただ、株価上昇のきっかけをつくった野村証券は、光通信の株価が5000円を上回った直後に、9月17日付でレーティングを「2」から「3」(中立)に引き下げている。その理由は、「ファンダメンタルの見方に変化はないものの、直近の株価急騰により、DCF(ディスカウントキャッシュフロー)※による妥当企業価値(野村では2500億円、1株当たり4300円と試算)を上回ったため」としている。

※ DCF(ディスカウントキャッシュフロー): 企業が将来生み出すお金を割り引き、それを合計して株価を試算する方法。もともと米国で主流の資産評価法で、ディスカウントキャッシュフロー(割引現在価値)方式の略。融資先の将来の収益を正確に推計し、それをもとに回収不能になるリスクなどを差し引いて現在の債権価値を導き出す。

  • このエントリーをはてなブックマークに追加