米マサチューセッツ工科大学(MIT)は、同大学の授業の教材を、世界中のユーザーがダウンロードして無料で使えるようにしようとしている。
パイロットプログラムの開始から1年を経た米国時間29日の夜、MITはOpenCourseWareイニシアティブを通じて、500講座の講義概要から講義ビデオにいたるすべての教材をひっそりと公開した。この野心的なプロジェクトが、各大学間の情報共有のやり方に、ウェブベースの革命を起こすことを、MITでは期待している。
「我々の本当の願いは、数多くの OpenCourseWareプログラムが出現し、最終的には世界中の人々が莫大な知識資産をオンラインで利用できるようになることだ。それが実現すれば、みんなが世界有数の大学の知識の宝庫を利用できるようになる」と、同プログラムの広報担当者、Jon Paul Pottsは説明している。
同プログラムは、短期的には、世界中の教師や学生が、MITの教授陣の教え方や情報を利用できるように、コース教材を配布することを狙っている。その点では、同プロジェクトはすでに成功を収めていると、同氏は述べた。1年前のプログラム開始以来、このサービスの利用者から1000通以上の電子メールが寄せられているという。
「MITのOpenCourseWareの有用性は計り知れない。ウェブ上で最高の知識データベースであり、特に関連分野の学生にとってはありがたい」と、パキスタンのラワルピンジにある国立科学技術大学に通うAbdullah Haroon Rasheedという学生は、MITへの電子メールで、そう記している。
同イニシアティブの正式な開始日は30日だが、大学側は、1800〜2000コースある全講義分の情報をオンラインで提供できるようになるのは、2007年頃になると考えている。
教授陣は講義概要、講義ノートやコースビデオに加えて、問題集、過去の試験やこれまでに終了した学生プロジェクトを公開している。
OpenCourseWareに関するアイデアは、ウェブをどう授業に活用できるかを検討するために、MITが1999年に結成した教授会から提案されたものだ。同委員会は、検討を重ね、有料化を唱えるいくつかの提案を破棄し、結局誰でも自由に利用できるという案に落ち着いた。
このアイデアは、世間の注目を大いに集めているオープンソースのソフトウェア開発モデルに負うところが大きい。この開発モデルは、1998年にNetscape Communicationが、自社のブラウザ開発をオープンソース形式にすると決定したことで、一躍有名になった。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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