米Hewlett-Packard(HP)は24日(米国時間)、Linuxを利用する同社の顧客が、米SCO Groupによる訴訟の対象になった場合に、その法的責任を肩代わりするという計画の詳細を発表した。
HPを通じて新規にLinuxを購入した上で、許可を得ずにソースコードに変更を加えないという条件を承諾し、さらに標準のサポート契約を結んだ顧客が保護の対象になると、同社では説明している。また、ソースコードに変更を加えていない既存顧客も、修正契約書に署名することで、保護の対象となる。
「我々は、顧客に対して、Linuxの導入を進めても大丈夫だという信号を送っている」と、同社バイスプレジデントのMartin Finkは、報道関係者との電話会議のなかで語った。
先に報道された通り、HPは、Linuxを利用する同社の顧客が、米SCO Groupによる訴訟の対象になった場合に、その法的責任を免責するとの決定を下した。SCOは、以前からLinuxを利用する企業および個人を訴えるとの警告を発しており、また自社が所有するUnixコードが、Linuxのコードのなかに不正に流用されているとの主張を続けている。
Finkによると、HPの免責補償が適応されるのは、SCOが訴えを起こしたものに限られるという。
SCOはこれまでに、米IBMを提訴し、また約1500の企業にLinuxの利用には法的責任を問われる可能性があると警告する書簡を送付している。いっぽう、IBMはSCOを反訴し、またLinuxベンダー最大手のRed HatもSCOを訴えている。
HPは、これらの訴訟についてはコメントしなかった。
「それは法廷が決めることだ」(Fink)
同時に、HPではこの問題を検討し、いくつかの選択肢を比較評価して、これを取るべきリスクであると判断したと述べている。
「我々は、社内で適正評価を行い、顧客に代わって我々が負ってもいいリスクだとの判断を下した」(Fink)
同社の免責補償は、SCOとLinux関連の契約を新たに結んだ上で実施するものではないとFinkは述べたが、しかし同社がSCOとUnix関連のライセンス契約を交わしているかどうかについては、コメントを差し控えた。いっぽう、SCOの関係者は、HPが自社のHP-UXをカバーする長期のライセンスを取得していると述べている。
しかし、HPの今回の動きは、顧客が抱える悩み、すなわちライセンス料をSCOに支払うか、それとも法的責任を問われるリスクを負うかという決断を迫られる顧客の悩みをなくすものだと、Finkは述べている。
HPの提供する法的保護には制限がある。1つは、Red HatやSuSeなどのLinuxベンダーがオペレーティングシステム(OS)に変更を加えた場合にだけ、OSのアップデートを行うという条件に同意することだ。
「もし自分でソースコードをいじったら、補償はできない」(Fink)
たとえ制限付きだとしても、競合他社ではまだこうしたサービスを行っていないと、HPは述べている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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