ほんの数時間のことだったが、シリコンバレーで大きな影響力をもつ弁護士Larry Sonsiniが、全国的に脚光を浴びた。
Sonsiniの事務所関係者が明らかにしたところでは、同氏は米国時間17日、ニューヨーク証券取引所(NYSE)の暫定会長職への就任に関する打診を受けたが、その晩遅くにこれを断ったという。NYSE取締役会では、前会長のDick Grasso辞任を受け、後任選びを進めていた。なお、前会長のGrassoは、総額1億4000万ドルに上る巨額の報酬が先頃発覚し、これが大きな論争に発展したことから、17日に辞任の意向を表明していた。
Sonsiniはほぼ40年にわたり、テクノロジーの中心地であるシリコンバレーで、証券分野を専門とする弁護士として活動してきた。同氏は1970年代のパソコン業界や、1990年代の商用インターネットなどの成長に、重要な脇役として関わってきた。また、2001年からはNYSE取締役会のメンバーも務めている。
金融業界や企業家コミュニティ内に幅広いコネクションを持つ同氏は、、株式公開(IPO)を目指すスタートアップ企業から、信頼できる相談相手として慕われるようになった。同氏がIPOに関わった代表的な企業として、米Apple Computer、米Sun Microsystemsや米Netscape Communicationsなどが揚げられる。
Wilson Sonsini Goodrich & Rosatiという弁護士事務所のパートナーであるSonsiniは、巨大企業がイの一番に声をかける相手でもあり、米Hewlett-Packard(HP)が、旧Compaqの合併を巡って、株主の一部と戦いを繰り広げた際には、合併推進側の主任弁護士を務めた。また、最近では米J.D. Edwardsを代表し、米PeopleSoftとの17億5000万ドルに上る合併をまとめようとしている。
Wilson Sonsini Goodrich & Rosatiは、これまで最も注目を浴びたテクノロジー業界関連の裁判で重要な役割を演じたことがある。同事務所に弁護士Gary Rebackは、米国司法省と米Microsoftが戦った独占禁止法違反を巡る裁判の際、司法省側の牽引役を務めていた。MicrosoftがNetscapeに対し不公平な競争を仕掛けているとのRebackの告発が発端となって始まったこの裁判は、Microsoftの商習慣に対する徹底的な調査にまで発展した。
現在IPOを検討中のNYSEにとって、Sonsiniは暫定的な会長としてまさにうってつけの人物だ。さらに同氏なら、テクノロジー関連企業の集中するNASDAQ市場に後れを取っているNYSEに、IT業界とのつながりをもたらせるだろう。
同氏は弁護士だが、おそらく経験豊かなディールメーカーとしての知名度のほうが高く、Kleiner Perkins Caulfield & ByersパートナーのJohn Doerrのようなベンチャーキャピタリストと友情を育んでいる。また同事務所は、米大手投資銀行のCredit Suisse First Bostonが引き受けたIPOも数多くまとめているが、同銀行でIT業界の案件を取り仕切っていた Frank Quattroneは、現在連邦当局が行っているIPO関連の調査で、司法妨害の容疑をかけられている。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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