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「PtoPでIP電話を」、Kazaaの次なる革命

Ben Charny (CNET News.com)2003年09月18日 10時00分
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 Kazaaの設立者であるJanus FriisとNiklas Zennstromは、次の標的を電話業界に定めたようだ。

 2人は先日、PtoPソフトを利用した世界初のインターネット電話というふれこみで、新サービス「Skype」を立ち上げた。無料のSkypeソフトをダウンロードしたユーザーは、サービス開始から1週間で延べ6万人に上る。同じくVoIPサービスを提供しているVonageやFree World Dialup(FWD)は、同じだけのユーザーを獲得するのに数カ月を要した。

 Kazaaで音楽業界を揺るがせた2人組は、今度は旧態依然とした電話業界に一石を投じるつもりのようだ。CNET News.comの取材に対し、Janus Friis 氏はVoIP事業への抱負、サービス名の由来(意味はないというのが答えだが)、VoIPプロバイダに対する規制の可能性などについて語ってくれた。

---Kazaaの開発者がなぜVoIPに進出を?

 Niklas Zennstromと私はKazaaを開発したあと、この経験を生かせる場所はないか、PtoP技術を使って革命を起こすことのできる分野はないかと考えました。そこで目に留まったのが電話市場です。ぼったくりとしか思えない料金設定、中央集中型インフラへの依存。次のターゲットとしては理想的だと思えました。

---Skypeソフトの開発に要した時間は?

 6カ月くらいでしょうか。開発期間としてはKazaaの方が短く、4カ月ほどでした。今回の方がいいものができたと自負しています。

---「Skype」とはどういう意味ですか。

 意味はありません。響きがよくて、ドメイン名が空いていた、それだけです。人々が「電話するよ」ではなく、「Skypeするよ」という日が来るようにしたいですね。「Skypeするよ」というのは、「分単位のぼったくり料金を払わずに、従来の電話とは比べものにならない高品質の電話をかけるよ」という意味です。

---VoIP業界におけるSkypeの位置づけは。VonageやNet2Phoneのように、主流の電話サービスになることを目指しているのですか。

 Skypeは音質が悪い、導入・設定が面倒、高価な集中インフラが必要といった従来のVoIPソリューションの問題をすべて解決しています。これまで、こうした問題に腰をすえて取り組んだ企業はありませんでした。VoIPが日の目を見なかったのはそのためです。

---事実かどうかはともかく、Kazaaには悪の温床というイメージがあります。Skypeにもこのイメージがつきまとうことになるのでしょうか。

 悪の温床というKazaaのイメージは、Kazaaをとりまく著作権問題から来ています。もちろん、ハリウッドがKazaaやファイル交換全般に対して繰り広げている数百万ドルのPRキャンペーンのせいもあるでしょう。しかし私たちの知る限り、Kazaaは多くのユーザーに愛されています(結局、私たちにとって重要なのはユーザーだけです)。ベータ版ユーザーから届く何百通ものメールを見る限り、Skypeも間違いなく、人々に気に入られたようです。

---Skypeはどんな影響をもたらすと思いますか。

 業界は違っても、Kazaaのように愛され、Kazaaのように革命的な存在になることを願っています。既存の電話会社を除けば、定額制の電話サービスに文句をつける人はいないはずです。

---Skypeが世界初のPtoP VoIPシステムというのは本当ですか。

 PtoPという言葉はあちこちで聞かれますが、2人のユーザーを直接結ぶからといって、PtoPソフトとはいえません。程度の差こそあれ、インターネットソフトのほとんどはそうした機能を備えていますからね。すべてのクライアントが協力しあい、動的にルーティングを行ったり、情報を格納するネットワークを生みだすのが真のPtoPソフトです。このネットワークはユーザーが増えるほど強力になります。

---FWDとはどう違うのですか。FWDもソフトを無料配布している無料の電話サービスですが。

 FWDは中央集中型インフラを採用しています。つまり、大量のサーバを使ってユーザーのディレクトリ管理や通話処理を行っているのです。この仕組みでは、ユーザーが増えればコストも上がります。今後さらにユーザー数が増えれば、高品質なサービスを維持するのは難しくなるでしょう。

---他にPtoP電話システムの利点はありますか。

 電話として過不足がないということでしょう。私たちの調査によると、ブロードバンドユーザーの50%以上はNAT(network address translation)やファイアウォールを導入した環境にいます。こうした環境では、SIP(Session Initiation Protocol)ベースのVoIPソリューションを十分に活用することはできません。一方、私たちが採用しているPtoP技術では、インターネットに接続できる環境がある限り、電話をかけたり受けたりすることができます。電話に求められているのはシンプルさです。受話器をとり、ダイヤルを回せば、相手につながる。電話サービスでは、こうした単純さが重要なのです。

---VoIPが電話サービスの主流になる日がくると思いますか。今のところは悲観的な見方が強いようです。停電すれば使えませんし、911(緊急番号)にかけることもできません。

 いずれ回路交換方式の電話は衰退するでしょう。しかし、今すぐというわけではありません。PtoP世代、つまりKazaaやSkypeで育った子どもたちが大人になり、家を出るとき、はたして従来のような電話線を引くでしょうか。ブロードバンドとSkypeを導入するはずです。911や停電などは取るに足らない問題であり、既存の電話会社がVoIPをつぶすために持ち出している議論に過ぎません。

---米国の各州ではVoIP業者に規制を課す動きがはじまっています。その他の国ではどうでしょうか。

 Skypeソフトは複数のユーザーを直接つなぐものなので、欧州連合(EU)では規制の対象にはなりません。この点は弁護士に確認済みです。将来的に、Skypeやパートナー企業が一般電話との通話といった付加サービスをはじめれば規制に抵触するかもしれません。その場合は適用される法や規制に従うつもりです。

---つまり、米国よりも欧州の方がVoIPの育成に適しているということですか。

 EU地域では通信分野の規制緩和が非常に進んでいます。競争を奨励し、新技術の導入を促進する環境があるだけでなく、概して官僚主義的なところがありません。たとえば、スウェーデンでは規制当局に申請書類を提出し、1000スウェーデンクローナ(約100ドル)を支払うだけで電話事業に参入することができます。この手続を済ませれば、既存の電話会社はその事業者と相互接続契約を締結しなければなりません。

---ダウンロードが殺到したために、サービス開始から数時間で障害が発生したとか。嬉しい悲鳴ですね。

 Skypeソフトのダウンロード件数はサービス開始から1週間でほぼゼロから6万に激増しました。6万といえば、KazaaとFWDが達成に3カ月以上を要した数字です。しかし、このために当社のダウンロードサーバや登録サーバには多大な負荷がかかり、ホスティングプロバイダでも障害が発生しました。今は万事順調ですが、ベータテスト期間中はまた問題が発生するかもしれません。

---Skypeを開発したのは2億5000万人がダウンロードしたKazaaの開発者ですから、Skypeも爆発的な人気を得るとみられています。Kazaaの人気はSkypeの普及に役立ちますか。そうだとすれば、どのような方法で?

 サービス開始以来、Skypeは完全に口コミで広まっています。確かにマスコミでも広く報道されましたが、その影響はさほどでもないようです。私たちはサービス開始前から、SkypeはKazaaよりも口コミによって広まるとみていました。Skypeのユーザーは友人にもSkypeの導入を勧めます。そうすれば、無料通話が可能になるからです。一方、Kazaaの場合は友人が使おうと使うまいと大差はありません。自分が気に入ったから友人にも勧めているに過ぎないのです。

---Kazaa、そしてLindowsのMichael Robertson---次にVoIPに参入するのは誰でしょう。Napsterの生みの親Shawn Fanningでしょうか。かつて音楽業界を揺るがせた面々が、今度は電話業界に目を向けているようにみえます。これはなぜでしょうか。

 参入の機が熟したということでしょう。ブロードバンドの普及率がかなりの水準に達し、ユーザーの側にもインターネット電話を受け入れる準備が整ってきました。今まで「来る来る」と言われながら、インターネット電話はなかなか実現してきませんでした。PtoP はインターネット電話に非常に適した技術ですから、これは自然な展開といっていいでしょう。

---インスタントメッセンジャー(IM)のインターフェースを採用し、文字コミュニケーションの要素を取り入れたのはなぜですか。

 Skypeは電話ソフトですが、IM機能もあれば便利だろうと思ったのです。誰かと話しながら、別の人とチャットをすることができますからね。Skypeのユーザーインターフェースを設計するにあたって、私たちは携帯電話の手軽さを取り入れたいと思いました。携帯電話の使い方はだれでも知っています。さらにIM機能を追加すれば、友人がインターネットに接続しているかどうかも分かるというわけです。

---大手IM企業に挑戦状を叩きつけることになりませんか。

 繰り返しになりますが、Skypeはあくまでも電話ソフトです。IM機能は補助的なものにすぎません。人々がSkypeをダウンロードしているのは、Skypeが現時点で最高の電話ソフトだからです。とはいえ、Microsoftのような大企業が提供する多機能のIMクライアントにうんざりしているユーザーは大勢いますから、基本機能だけのシンプルなIMクライアントに魅力を感じる人もいるでしょう。

---FWDのJeff PulverはSIP規格を採用しているVoIPプロバイダの相互接続に取り組んでいます。Skypeもこの取り組みに参加していますか。

 Skypeはほとんどのプロバイダが採用しているSIPではなく、独自のプロトコルを使っています。私たちのしたいことがSIPではできなかったからです。電話業界が定めた標準を使っていては新しいことはできない、というのが私たちの考えです。問題を根本から解決するような、革新的な何かを生み出さなければなりません。とはいえ、相互運用性の必要性も重々承知していますから、FWDやSIPベースのサービスとの相互運用にも協力していくつもりです。

---既存の電話会社やケーブル会社から反発を受ける恐れはありませんか。こうした企業がサービス契約の「複数の接続の禁止」という条項をふりかざし、Skypeを妨害することがないとはいえません。

 ブロードバンドユーザーは、回線を自分の好きなように使いたいと考えています。ISPがSkypeの利用を禁止するような愚挙にでれば、自殺行為といっていいでしょう。ユーザーはもっと融通の利くプロバイダに大挙して乗り換えるでしょうし、反競争的行為として訴えられる可能性も十分にあります。そもそも、Skypeを脅威と感じるのは電話サービスを提供しているISPだけです。ほとんどのISPはインターネット接続だけを提供しています。こうした企業はブロードバンドサービスの需要を高めるものなら何でも歓迎するでしょう。

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