楽天の時価総額が、とうとうジャスダック市場の2位に踊り出た。それは、ここにきて同社の株価が急速に上昇していることを意味する。果たして楽天は、間もなく東証に上場するヤフーの後を継いでジャスダック市場の盟主となれるのか。
ヤフーが東証への上場申請を行ったと発表した直後、ジャスダック市場の時価総額上位の銘柄は、2位アルゼ2654億円(7月18日大引け現在)、3位日本マクドナルドホールディングス2566億円(同)、4位楽天2080億円(同)となっていた。ところがその後、楽天の株価は順調な上昇をみせ(7月17日終値18万4000円から8月1日終値26万7000円で、45%の上昇)、わずか10営業日足らずでアルゼとマクドナルドを抜き去って2位に躍進したわけだ。8月1日終値現在の同社の時価総額は、2723億円となる。
最近の楽天の株価急上昇について、外国証券のアナリストは「1兆9400億円(ジャスダック市場全体の約20%)と圧倒的な時価総額を持つヤフーが東証へ上場することで、ジャスダック市場に大きな空白が生まれることは否定できない。そこで当然のことながら高まってくるのが、市場全体のけん引役となる“ポストヤフー銘柄”の誕生への期待感だ。時価総額の大きさに加えて、株式の流動性の高さ、さらに事業内容の将来性や成長性、そして知名度など様々な面からして、現時点では楽天がポストヤフーの第一番手といえそうだ」としている。
楽天の業績は順調な推移をみせている。8月21日に発表が予定されている6月中間期の決算も、連結営業利益で前年同期比50%増近い16億円程度と順調な成長となったもようだ。これは、楽天の運営する仮想商店街で買い物をした消費者に対してポイントサービスを実施し、このポイントに応じて楽天市場の全商品を購入できるシステムを導入したことにより、売上高が大きく伸びていることが寄与している。さらに、携帯電話版での取り扱い商品の拡充や、別会社で運営しているインフォシークやライコスといったポータルサイトの順調な事業拡大も貢献している。
ただ、あまりにも短期間での株価の急上昇だけに、先行きの株価動向について懸念する声も出ている。準大手証券の投資情報部では「いくら将来有望な成長株といっても、株価指標の面からみれば連結予想PER(株価収益率)が100倍を大きく超えるなど、現在の株価がかなり割高であることは否定できない。今回の株価上昇は、同社が今後ジャスダック市場のリード役となることを期待して、個人投資家や証券会社の自己売買部門から買いが入ったことがメインとなったようだ。今後は、中長期的な投資スタンスに立っての外国人を含めた機関投資家からの買いがどの程度流入してくるかが注目される」としている。
楽天の三木谷浩史社長は、7月1日付けの日経金融新聞のインタビューで、「3年後、5年後の成長を見据えると、個人的には株価はまだ安いと思う」とし、「成長力の下ぶれリスクはないと自負している。個人消費に関連した国内市場のうち、インターネットショッピングの規模は1兆円程度にとどまっているものとみられるが、近い将来に20兆円規模に拡大するとみる」と述べている。
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