かつて「8ウェイは全てを網羅する強力なサーバだ」と豪語していた米Dell Computerが、同サーバ市場から撤退し、米Intelとの提携を解消することを明らかにした。
DellはこれまでIntelの、Xeonプロセッサを最大8個搭載した大規模サーバ向けチップセットの開発に対し資金援助していた。このような大規模サーバは住宅販売データベースなどのタスク処理に利用される。しかし、「大規模サーバの開発には時間がかる。その一方で小規模の2ウェイ/4ウェイのサーバシステムの性能が向上しており、今では8ウェイのそれを凌いでしまった」(Dell製品マーケティングディレクター、Neil Hand)という。
「2ウェイ/4ウェイのサーバシステムの性能向上は、どのサーバシステムよりも目覚ましい。もはや我々は8ウェイのXeonシステムを市場投入するつもりはない」(Hand)
ただし、同社はハイエンドサーバ市場をライバルの米Sun Microsystems、米IBM、米Hewlett-Packard(HP)に明け渡すのではなく、小規模サーバを大規模なマルチプロセッササーバに仕立てることで対抗するという。
Dellはこれまで売上高600億ドルを目標に製品ラインを拡大してきたが、この計画を支えてきたのがハイエンドのエンタープライズサーバやストレージ機器だった。しかし、今回8ウェイのサーバシステムの市場から撤退することで、Dellの野望に陰りが出ることになる。
米Insight64のアナリスト、Nathan Brookwoodは「Dellが得意としているのは、ベンダーのサポートを必要としない商品だ」と説明する。「しかし大規模サーバは別問題。顧客がこの価格帯のシステムをDellから購入するとは思えない。今後は状況が変化するかもしれないが、現時点ではDellの強みは1/2/4ウェイのサーバにあるため、8ウェイサーバからの素早い撤退を決めたのだろう」(同氏)
2003年第1四半期における8ウェイサーバの出荷実績をみても、「市場全体の出荷台数24万6000台のうち、Dellの分はわずか400台、売上高にして2億3700万ドルにすぎない」(米IDCのアナリスト、Mark Melenovsky)という。
今回のDellの決定は、IT業界で取り上げられている「サーバ構築のための最適な方法」の議論を反映したものといえる。これまで、高い負荷のかかるアプリケーションは、数十個のプロセッサを搭載した、SMP(Symmetric Multiple Processor)方式のUnixサーバやメインフレームで処理されてきた。業界用語で「スケールアップ」と呼ばれるこの手法に対して、現在では廉価なローエンドサーバ群で処理を分散する、「スケールアウト」に力を入れるコンピュータ企業が増加しつつある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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