「暴力ゲーム禁止法」は言論の自由に反する:米連邦裁

 米連邦裁判所は、未成年者への暴力的なビデオゲームの販売を禁じたワシントン州法が、言論の自由の侵害に当たる可能性があるとして、同法を一時的に差し止めた。

 7月27日に発効予定だった同法は、17歳以下の未成年者に法の執行者に対する暴力を描写したゲームを販売した業者に対し、1本あたり500ドルの罰金を科すことができるというもの。

 米地裁判事のRobert Lasnikは11日(米国時間)にワシントン州法の仮差し止め命令を出すに当たり、同法は適用範囲が過度に広い上に対象が限定されすぎていると指摘した。

 Lasnikは、各ゲームには複雑な筋書き、独自の背景音楽、詳細なアートワークが含まれており、ほかのメディアと同様、言論の自由に基づく保護に値する、と述べた。またLasnikは、ゲーム販売を禁じることにより、言論の自由に関するより幅広い懸念が生じかねないと指摘した。

 「同法はあまりに広範囲に適用される可能性があり、例えば『Minority Report: Everybody Runs』のような人気映画のゲーム版や、腐敗した政権に対する勇敢な闘争を描いたゲームの入手まで制限されかねない」(Lasnik)。

 またLasnikは、同法は法の執行官に対する暴力のみを対象としており、「恣意的」だと述べた。

 「ワシントン州は、未成年者の目に触れる全ての暴力シーンを規制する努力だけでなく、ゲームソフト『Grand Theft Auto: Vice City』に登場する女性の殺人・断頭シーンのような、ビデオゲームに描写される全ての暴力的グラフィックを規制する努力もしていない」(Lasnik)。

 ゲームをプレイ中に子供たちが目にする数多くの暴力的描写に対して、規制を求める親たちの勝利と言われた同法は、今年はじめにワシントン州議会の両院で可決され、5月に調印された。そして6月に、Interactive Digital Software Association(ISDA)が、表現の自由の侵害を理由に違憲訴訟を起こしていた。

 ISDAは、今回の仮差し止めについて、この問題に関するほかの判例にも合致しているとして、称賛する声明を発表した。IDSAのDouglas Lowenstein会長は声明の中で、「米地裁のRobert Lasnik判事は、ゲームも文学、音楽、映画といったほかの創造的表現と同様の、保護に値する、ひとつの言論であることを認めた」と述べた。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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