日本電気(NEC)と通信・放送機構(TAO)は7月4日、量子暗号システムを組み込んだ光ネットワーク上で、距離100kmの単一光子伝送に成功したと発表した。
量子暗号システムは、光ファイバ上で1ビットの情報を伝送する単一光子を調べ、光子の状態が測定前と測定後で変化することを利用し、盗聴を検出するというもの。微弱な光信号の中から1つ1つの光子を検出する必要があり、情報を伝送可能な距離は光受信器の性能に大きく左右される。
NECと科学技術振興事業団(JST)が2002年に共同開発した、光子検出時のノイズを除去する低雑音光子受信器と、NECとTAOが共同開発した光源部の単一光子スペクトルフィルタと組み合わせることで、信号対雑音比を従来の50倍に改善し、100kmの伝送距離を実現したという。
「都市内光ネットワークでの使用に十分耐えうる性能を持つもので、あらゆる盗聴に対して高度な安全性を有する光ファイバー・ネットワーク・システムの実現に大きく貢献するものと期待される」(NEC、TAO)
なお今のところ、既存の光ネットワークが使用するものと同じ損失・散乱特性の光ファイバを使っているが、今後、より低散乱で低損失の光ファイバに切り替えることで、200km程度の長距離伝送も可能になるという。
NECとTAOは今後、電子商取引・電子投票など、インターネットを利用した各種サービスに向け、早期の実用化を目指して研究・開発を続けていくという。
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