幕張メッセにて開催中のイベント、NetWorld+Interopで7月2日、慶應義塾大学教授の村井純氏が「インターネットの夢と現実:これからの10年」というテーマで基調講演を行った。村井氏は講演の冒頭で、「講演のテーマはこれからの10年となっているが、10年先のことなんて誰もわかるはずがない。それを一番よく知っているのは私だ」と述べつつも、現状を見つめてみるのはいいことだとして語りはじめた。
村井氏が講演の中で強調していたのは、IPv6の重要性だ。今後パソコンのみならず家電や車など、すべてのデバイスがインターネットにつながるための準備として、「どのようにIPv6を使うかを考えるのは今」だという。村井氏は、このようにすべての機器がネットワークにつながることを「自律ノードの時代がやってくる」と表現した。
自律ノード時代の例として村井氏は、昨年名古屋で行った実験について語った。その実験ではタクシーのワイパーの動きで雨の情報を知らせたり、車のウィンカーの動きで渋滞の原因を探るといったことを行ったのだという。「このような車とインターネットの組み合わせは大変面白い。その中でいかにうまくモバイルIPv6技術を使うかが課題だ」と村井氏はいう。
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慶應義塾大学教授、村井純氏 | |
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村井氏はNetWorld+Interopの常連キーノートスピーカーだが、同氏ははじめてこのイベントで基調講演を行った時のスライドを見せた。それは、「インターネットは世界中をめぐる血管であり、その血管をいかに健康な状態に保つかが重要だ。その役目を果たす心臓部分は今の日本にはない」というものだったが、今は「日本の貢献度は高い」としている。これまでも技術的な部分で日本に遅れはなかったが、最近では携帯電話の普及などを含め、「日本人の適応能力は高く、新しいメディアの普及の早さも順調だ」と語り、世界の中の日本の役割が大きくなっていることを自覚しつつ、インターネットという血管を健康な状態に保つよう呼びかけた。
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