IBMとドイツのInfineon Technologies AGは、京都で開催中のVLSIシンポジウムにおいて、磁気メモリセルを使った記憶容量128KビットのMagnetic Random Access Memory(MRAM)コアを公開する。日本IBMとインフィニオンテクノロジーズジャパンが6月10日に明らかにしたもの。
このMRAMコアは0.18ミクロンルールで製造し、大きさ1.4平方ミクロンのメモリセルを集積している。「(セルの大きさは)これまでに公表されたMRAM技術のなかで最小サイズ」(両社)という。IBMとInfineonの研究者は、セル内の磁気構造をパターン化することで、メモリの読み書き操作の制御に成功した。
一般的なメモリが電荷を使ってビット情報を保持するのに対し、MRAMは磁気を利用してデータを格納する。現行の電荷メモリに比べ、MRAMは省電力で記憶容量が大きく、より高速なアクセスが可能。さらに、電源を切っても情報を保持できる特徴を持つ。
「MRAMは、DRAMの大容量と低コスト、SRAMの速度、フラッシュ・メモリの不揮発性、といった現在一般に使用されているメモリ技術の長所を兼ね備えている。不揮発性があるので、パソコンなどに使用すると起動時間の極めて短い製品を実現できる」(両社)
Infineonメモリプロダクトディビジョン最高技術責任者(CTO)のWilhelm Beinvoglは、「2004年初頭にはIBMと試作品を開発する」と述べる。「両社が共同出資しているフランスのAltis Semiconductorと共同で、早ければ2005年にもMRAMの生産準備に向けた作業を行う」(Beinvogl)
日本IBMのプレスリリース
Infineon Technologies AGのプレスリリース(英文)
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