HP、PavilionとCompaq Presarioの2面戦略展開

 米Hewlett-Packard(HP)は今後数週間にわたり、Compaq PresarioとHP Pavilionの、2つのコンシューマ向けPCブランドで新製品を展開していく計画だ。

 HPは、この2つのブランド間で、性格づけや、機能、価格などの面での差別化を行っていく。だがその目的は、片方のブランドの立場を優位にすることではない。同じセグメントに2つのブランドを同時に投入することによって、消費者の選択肢を増やそうというのだ。

 「このような製品展開ができなくなったときこそ、製品ラインを見直すときだ」と、HPで北米地区のデスクトップ製品のプロダクトマーケティングを担当するBruce Greenwoodは、同社の2面戦略について説明する。

 この中で登場した新製品の1つが、HP Pavilion a250nだ。CPUにハイパースレッディング対応のPentium 4-2.66GHz、512MBのメモリ、120GBのHDD、DVD-Rドライブ、Nvidiaのグラフィックスチップと64MBメモリを搭載したビデオカードを搭載する。またそれ以外にも、6種類のメモリカードを読めるリーダが組み込まれ、本体前面にUSBポートを配置するなどの特徴も備える。モニタなしで999ドルの価格だが、機能を考えれば非常にアグレッシブな値付けだといえる。例えばDVD-Rドライブ搭載など、同様な機能を持つソニーのPCV-RS320に比べ、100ドルも価格が安い。Pavilion a250nの概観は、HPのプリンタ製品などとマッチする紺のシャーシとメタリックブルーのカラーリングとなっている。

 またHPは6月4日(米国時間)、Compaq Presarioの新製品Compaq Presario S4300NXを発表した。CPUにハイパースレッディング対応のPentium 4-2.4GHz、512MBのメモリ、120GBのHDD、CD-R/DVDドライブを搭載し、グラフィックはチップセット統合型となっている。価格は849ドルで、Pavilionよりも安い製品を望むユーザーをターゲットとしている。

 このように、2つのラインアップは、基本的にほぼ共通のコンポーネントを使用し、近い価格帯を維持しているが、メモリカードリーダや異なるシャーシの採用に見られるように、部分的に差別化が行われている。HPの狙いは、できるだけ小売店の展示スペースを確保し、顧客にできるだけ多くの選択肢を与えることにある。

 両製品の性格付けについて、HP Pavilionではその概観を、同社のプリンタや各種周辺機器に近いものにしている。同社は2003年末までにプリンタやイメージング関連100製品を出荷する計画であり、その一環としてPavilionをマッチさせようとしている。

 一方のCompaq Presarioは、電子メールやワープロ、WebサーフィンといったPCの基本的な機能性を重視するユーザーをターゲットにしている。一部低価格機でCD-R機能を搭載したモデルを用意しているが、これらはゲームユーザーをターゲットとしている。

 このようなHPの戦略についてアナリストは、同社にとっていい影響を与えていると話す。HPは小売市場でのシェアを失っているが、その影響は最小限で留まっているというのだ。NPD Techworldの調査によれば、2003年1〜3月期でその幅は9〜15%だという。

 NPD TechworldのアナリストSteve Bakerは、「HPはまだ2つのブランド間で製品統合を進める余地があると思う。現状のやり方が、必ずしも有効には働いていないからだ」という。同氏はまた、「HPはもっと低価格デスクトップPCの市場を切り開くべきだ。Media CenterやDVD-Rを搭載したような高級機もいいが、市場としてのボリュームは大きくない」とも指摘する。

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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