電源保護装置の製造・販売を手がけるエーピーシージャパン(APC Japan)は6月4日、電源保護のための新製品、InfraStruXure(インフラストラクチャ)を日本市場に向けて発表した。InfraStruXureは、電算室やデータセンター向けに開発されたラック収納型電源・空調ソリューション。UPS(無停電電源装置)、分電盤、空調機器などがモジュール化されて19インチラックの中に収納されている。
同製品は米国にてすでに3月から発売されているもので、Microsoft、HP、AMD、EMCなど数多くの企業で導入されている。米APCの副社長兼アジアパシフィック地域統括ジェネラルマネージャーのBill Thayer氏によると、APCでは新商品開発着手の前に顧客企業とのミーティングを持ち、数々の課題を解決すべく新製品を開発したのだという。
そのミーティングで発覚した課題とは、IT機器搭載のための条件が変化しつつあり、適応性が求められていること、人為的なミスやダウンタイムが多く、可用性に欠けていること、ビジネスチャンスや危機に対応するため、迅速なデータセンター構築が求められていること、統合管理プラットフォームがなく、機器の運用管理が困難なこと、コスト削減が必要なことなどである。
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米APC副社長兼アジアパシフィック地域統括ジェネラルマネージャー、Bill Thayer氏 | |
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そこでAPCではUPS、ラック、空調機器のコンポーネントをモジュール化し、ゾーン単位で保護する「ゾーンプロテクション」というコンセプトのもと、「Pay as you grow(成長に合わせた段階的な投資)」を実現すべくInfraStruXureの開発に取り組んだ。「コンポーネントがモジュール化しているため、必要な規模に応じてモジュールの追加や撤去ができ、環境の変化に柔軟な対応ができる」(Thayer氏)
また、コンポーネントのモジュール化・標準化の実現で、メンテナンスや管理が容易になることも特徴だ。「これまでは電気や設備のスペシャリストに任せきりだった専門分野を、情報システム部門の担当者がサーバなどのIT機器と同じように運用管理することができる」と、Thayer氏。
InfraStruXureはType A、B、Cの3タイプに分類され、Type Aがラック1〜10台の電算室または小規模データセンター用、Type Bはラック10〜100台向け、Type Cは100台以上の大規模データセンター向けとなっている。定価は設定されていないが、「Type Aを単体で導入する場合、約100万程度のシステムになるだろう」とAPC Japanエンタープライズ営業部部長の高村徳明氏は述べている。
APC Japanでは、日本での市場規模を年間300億円と見込んでおり、初年度の出荷台数は約150セットを目標としている。
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