通信・放送機構(TAO)とNTTは5月15日、TAOが運用・管理する研究開発用ギガビットネットワークを用いて、TAOの直轄研究機関である幕張ギガビットリサーチセンター(幕張RC)、高知通信トラヒックリサーチセンター(高知RC)、東北大学分室、東京大学分室の4地点に設置した計二十数台の受像装置に、HD(High Definition)クラスの高精細コンテンツを複数箇所から複数番組同時にストリーム配信する実験に成功したと30日に発表した。
これは、TAO幕張RCとNTT未来ねっと研究所が広域多地点ストリーム配信の検証を目的に実施したもの。TAOが超高速ネットワーク技術などの研究開発向けに管理・運用しているJGN(Japan Gigabit Network)上に、MPLS(Multi Protocol Label Switching)ルータを用いたIPネットワークを構築して実験を行った。これまで、米国において数地点へのHD配信を行った例はあったが、数十ユーザへ、しかも複数箇所からそれぞれの番組を同時に配信したことは世界初の試みだという。なお、MPLSとはIPヘッダを見ずに、パケットに別途付加されたラベル情報のみを見て、パケットを転送する方式。従来のルータに比べ処理が簡単なため高速なパケット転送が可能となる。
この実験により、これまでエンドユーザからの大容量IPストリームの広域多地点配信時に課題となっていたサーバへの負荷、伝送帯域の不足などによる動画像の乱れが解消するという。送信元のデータと変わらない品質で伝送できるようになることから、NTTとTAOとでは、「いつでもどこからでも映画やビデオなどの高画質動画のストリーム配信や鑑賞が可能になる」と説明する。
NTTでは今回の技術検証を踏まえ、だれでも気軽にIPネットワークによる大容量広域多地点ストリーム配信が可能となる技術を確立するとともに、ビジネスやサービスのあり方についても今後検討を行っていく予定だという。
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