ウェブ標準団体のW3C(World Wide Web Consortium)は米国時間5月20日、W3Cの勧告仕様に含まれる特許の扱いを定めたポリシー「Royalty-Free Patent Policy」を承認した。オープンソース提唱者とソフトウェアメーカーとの衝突が取り沙汰されていた今回の特許ポリシーだが、8週間前に公開したドラフト案とほとんど変わらない内容で承認に至った。
特許ポリシー作業部会が策定した今回のポリシーでは、一部の例外を除き、全てのW3C標準策定でロイヤリティフリーを基本としている。つまり、W3C勧告仕様の策定プロセスに参加する関係企業は、基本特許をロイヤリティフリーでライセンス供与することに同意する必要がある。
オープンソース団体と数多くの特許を保有するソフトウェア企業との間で、特許ポリシーの問題は争いの火種となってきた。ソフトウェア企業の一部は、所有する特許のライセンス料で利益を生み出してきたこともあり、新技術開発のために資金と時間をつぎ込んだ知的所有権を手放すことを渋る者も多い。一方、オープンソース団体の大半は、特許が開発プロセスを阻害し、標準策定の障害になっていると考えている。
W3CディレクターのTim Berners-Leeは、今回の特許ポリシー承認にあたって、元の勤務先CERN(欧州合同素粒子原子核研究機構)が、1993年にウェブプロトコルを無償で提供したことに言及し、次のように語った。
「今回の承認は、CERNがウェブプロトコルと関連ソフトの無償提供を決定してからほぼ10年目に当たる。ウェブの基礎をなすこのプロトコルにロイヤリティフリーを適用していなければ、その後のウェブの繁栄はなかっただろう。今回の特許ポリシーもロイヤリティフリーと定めることで、今後10年間の技術革新、経済成長、社会発展のための基盤を作り上げることになる」(Berners-Lee)
オープンソース活動の中心人物でW3Cの策定作業にも参加したBruce Perensは、今回の承認を賞賛する。しかし同時に、「特許ポリシーの標準策定プロセスには多くの『抜け道』がある」(Perens)と警告を発している。
「今回のW3Cの特許ポリシー承認は、オープンソース・ソフトウェアの開発プロジェクトにとっては勝利と言える。ただし、特許権を申請していながら、正式にそれが認められるまでは世の中に存在が明かされない、いわゆる『サブマリン特許』などの課題が残っている」(Perens)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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