最新ワイヤレスネットワーク仕様802.11gが、まもなく標準として承認される。802.11gはすでに人気のワイヤレス技術だが、さらに広く普及する道が開けるのは間違いない。
ネットワーク技術の業界標準制定組織、Institute of Electrical and Electronics Engineers (IEEE)のワーキンググループが先週、802.11gワイヤレスネットワーク仕様ドラフト版の最新バージョン8.2を完成させた。このバージョンは802.11g仕様の最終版となる見込みが高く、そうなれば6月12日に開催されるIEEE会合で、正式に標準として認定されることになる。
802.11gの標準が制定されれば、802.11g採用の動きがさらに加速するだろう。なかにはすでに仕様に基づいて製品を開発しているメーカーもあるが、Hewlett-PackardやMicrosoftなどより保守的で影響力のある企業は、仕様が標準に認定されるまでは採用を控えてきている。
企業各社は、802.11gの採用をためらう主な理由として、802.11gが802.11bと互換性がないことを挙げている。
「標準化前の802.11g製品は、人気があるものの、802.11bとの互換性の問題の市場は躊躇している」と、IEEEの802.11ワーキンググループ広報責任者Brian Matthewsはいう。「しかし、いったん標準化されれば、相互運用テストもできるし、Wi-Fi Aliance(Wi-Fi製品を認可する組織)にも認可されると確信できる」(Matthews)
Matthewsは、ワイヤレスLAN(ローカルエリアネットワーク)製品用のLinuxベースソフトウェア開発会社、AbsoluteValue Systemsの社員でもある。
すでに製品に802.11gを採用しているメーカーは、かなり利益を上げている模様だ。Dell'Oro Groupの調査によると、ワイヤレスネットワーク機器市場の世界的成長は、802.11g仕様に支えられているようだ。第1四半期のワイヤレスネットワーク市場全売上のうち、802.11g製品が占める割合は16%、出荷量では17%に達しているという。
標準化の見通しが立ったことにより、他の企業も安心して802.11g製品の開発・販売を始められるだろう。
Intelもそのような企業の1つだ。同社は15日、Centrinoワイヤレスバンドルへの802.11g技術統合を、当初の予定よりも早めると発表した。Centrinoは新しい低電力Pentium-Mプロセッサとチップセットに、IntelがテストしたWi-Fiコンポーネントを統合したチップバンドルである。
Intelは当初、802.11gの統合予定を来年上半期としていたが、年内に802.11b/802.11gコンポーネントを含んだCentrinoパッケージを生産することにした。その後で、Centrinoに802.11aと802.11b、802.11gをすべて統合する予定だという。
Intelの上級副社長Sean Maloneyは、Intelが802.11g採用を前倒しした件について、「標準化や相互運用性の承認過程で進歩が見られ、市場での人気も高まっていることが背景にある」と話している。
Wi-Fi技術に残る問題点はセキュリティだ。IEEEはWi-Fi Protected Accessと802.11iという2つの仕様でこの問題に対処しようと取り組んでいる。
802.11g仕様によるWi-Fiネットワークは、2.4GHzの帯域を使用し、54mbpsの転送速度でデータを転送できる。また、現在主流の802.11bワイヤレス技術対応機器と互換性をもつことになっている。Wi-Fiとは、ユーザーがネットワークにワイヤレス接続し、ネットワーク資源を共有できる技術のこと。
802.11g仕様のバージョン7.0からバージョン8.2への変更点は目立つ内容ではなく、「分かる人には分かる」程度だとMatthewsは話している。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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