ニフティは8日、都内にて2002年度の業績発表と2003年度の事業方針に関する説明会を開催した。
ニフティ代表取締役社長の古河建純氏はまず2002年度の業績について述べ、総売上高が目標の700億円より若干少ない677億円となったことを発表した。このうち、接続サービスの売上高が573億円で、有料コンテンツなど上位サービスの売上高が104億円だという。売上げに対する営業利益比率は5%で34億円。
ニフティでは全会員数を公表しない方針だが、ブロードバンド会員数は2003年3月末で60万人に達したと発表した。60万人の内訳は、ADSLが51万人、光ファイバーが2万人、ケーブルが7万人だという。目標としていた75万人には達しなかったが、ブロードバンドが本格的に普及しつつあることから、同社は2004年3月までにブロードバンド会員が106万人に達すると見込んでいる。
古河氏によると、2003年度の事業戦略で中心となるのは、マジョリティ(一般大衆)層を対象としたモデルで、「あまり技術には強くないが、良いものをじっくり選ぶ傾向のあるマジョリティ層に対し、ニーズに合ったサービスを提供できるよう、われわれが『ネットコンシェルジュ(ネットの案内人)』となることを目指す」のだという。
ニフティ代表取締役社長 古河建純氏 「街角での宣伝は非効率だ」 | |
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具体的に同社では、「わかりやすい接続サービス」「魅力のある上位サービス」「安心・安全なセキュリティサービス」を中心に事業展開する予定。1つめの接続サービスに関しては、現在技術の進歩に引きずられて複雑化しつつあるブロードバンド接続サービスの商品体系を見直し、ユーザーの目的に合ったサービスが提案できるようにする。そのため、ADSLの速度別に利用シーンを想定したり、個人から家族への利用が広まることに向け、IP電話サービスを含む家族のニーズに合ったパッケージ商品を準備しているという。また、ひとつのIDでどこでもインターネットにアクセスできるユビキタスなアクセス環境も提供していく。
2つめの上位サービスは、今後ニフティが注力し、増収を狙っている分野で、2003年度の売上目標も25%アップの130億円としている。このため同社では、まずこれまでのフォーラムやコミュニティといった区切りを、例えば「車」「音楽」といったテーマごとに区切ることで、ユーザー志向のサービス誘導を展開したい考えだ。また、ユーザーのコミュニケーションをより促進させるため、ビデオチャットにブロードキャスト機能も追加するという。この機能により、多人数の視聴者がビデオチャットを閲覧することができるようになる。またこの機能を基盤とし、英会話レッスンや法律相談、料理教室、アイドルとのチャットなど、新しい参加型のコンテンツも提供する予定だ。ただ、ケーブルテレビのような放送事業には「あまり魅力を感じていない」(古河氏)という。
3つめのセキュリティサービスについて古河氏は、「これまではユーザーまかせだったセキュリティ管理をニフティにて管理することで、付加価値を提供する」と語る。同社では、ウェブやメールのアンチウイルス機能や不正侵入防止をセンター側で行う「@niftyBBセキュリティ」という新セキュリティサービスを6月より実験開始の予定だという。
今期会員数の目標が達成できなかったのは、Yahoo! BBの影響があることは古河氏も認めている。ただ、Yahoo! BBのよう街頭キャンペーンや無料サービスを実施するのかとの問いに古河氏は、「街角での宣伝は非効率なので、実施する予定はない。また無料サービスも一度始めると抜け出しにくいモデルだ」と述べている。古河氏によると、街頭での販促活動は新規会員の獲得コストが高くつき、数年間継続利用してもらわないとペイしないという。ニフティとしてはライバル会社の顧客獲得競争からは一歩離れて様子を見ている状況だという。「新規の顧客をいかに獲得するかより、ニフティは既存顧客のライフタイムバリューを大切にしていきたい。一度会員になったユーザーに、長く会員でいてもらうようなサービスを提供し、無理なく収益を上げていく」と古河氏は語った。
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