Linux OSの生みの親であるLinus Torvaldsが24日、主要なLinux専門のメーリングリスト「Linux-kernel」への投稿の中で、ある提案の概要を説明し、物議を醸している。
この提案の内容は、Linuxの基本ルールのなかには、開発者のデジタル著作権管理(DRM)技術使用を禁じるものはない、というもの。DRMとはデジタル著作権を保護するための技術で、ソフトウェアが本物であることの保証や、映画ソフトの不正コピー防止など様々な用途に用いられている。だが、一部のオープンソース/フリーソフトサークルのなかでは、DRM技術の使用はソフトの利用に関する、彼らの自由に対する侵害行為と考えられている。
この点についてTorvaldsは、「Linuxは政治運動ではなく、あくまで1つのOSであり、究極的には誰でもやりたいことを自由にできるようにするべき」と述べ、より柔軟な姿勢を示した。
このTorvaldsの投稿と、それに続く議論の内容から、一部のオープンソース・プログラミングサークルが依然としてDRM技術に神経を尖らせている理由が明らかになった。主にMicrosoftやIntelが率いるプロプライエタリ・ソフト/ハードウェアのデベロッパは、「信頼できるコンピューティング」という長期的な構想に取り組んでいる。この構想については、ユーザーが自分のPCで使用するソフトがウィルスに感染していないという確信が持てるという意味で支持する声もあるが、それを実現するためにはハードやOSのかなり根本的な部分で認証機能を構築しなければならない。そのため一部のオープンソース・デベロッパからは、オープンソースコミュニティが開発したソフトなどが標準的なPCで使用できなかったり、あるいは標準的なプログラムとの互換性が維持できなくなるのではないか、との疑問の声が上がっている。
さらに、映画会社やレコード会社など大手のコンテンツ会社が認証ツールを利用して、PCユーザーによるコンテンツの利用を大幅に制限することも考えられる。この点についてTorvaldsは、確かに仮にDRM技術がコンピュータシステムの根本部分で構築されれば、Disneyのような企業が自社コンテンツ利用に関して取り決める裁量の余地が拡大する可能性もあるが、一方でソフトの信頼性を高めることも重要な目的の一つであり、この二つは表裏一体で、切り離すことはできないと述べた。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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