TRONプロジェクトのリーダーとして知られる東京大学大学院情報学環の坂村健教授が4月17日、オブジェクトテクノロジー研究所(旧OMGジャパン)主催のUML Forum/Tokyo 2003にて「ユビキタスネットワーキングとUML」というテーマで基調講演を行った。
坂村教授の開発したTRONは現在組み込みOSとして世界ナンバー1のシェアを確保しており、あらゆるデバイスに組み込むことでユビキタス社会が実現できるとされている。
現在TRONプロジェクトとUML(Unified Modeling Language)との関わりはまだ薄いという坂村教授だが、UMLを使った組み込みシステム開発も考えているという。ただ、組み込みシステムのスペックは非常に限られており、その中でUMLのように高級なモデリングツールを使って開発したシステムを載せるのは現状では厳しいとのことだ。「ユビキタスコンピューティングは、デバイスが小さいからこそ実現できるもの。デバイスが小さいということは、その中のシステムも小さくなくてはならない。
東京大学大学院情報学環
坂村健教授
しかし坂村教授は、UMLが効率のよいモデリングツールであるということは認めており、「開発環境が未整備な小さいコンピュータの世界こそモデリング言語やツールが必要で、UMLが求められる世界でもある」と語る。坂村教授は、組み込み機器開発のためのオープンなプラットフォームであるT-Engineを推進しており、OMG会長兼CEOのRichard Soley氏に対し「たとえばT-Engineに特化した組み込み用のUMLが実現すればいいのでは」と話しているのだという。一方のSoley氏もこの提案には積極的に取り組みたいとのことだ。「実はこれまでプログラミングが得意でない人は高級ツールがあろうが何があろうがだめだと思っていたが、その考えを改めつつある」と、坂村教授はUMLへの期待を語った。
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