開発投資よりも、まずは資産圧縮を――。NECの金杉明信新社長は、このほど大阪でお披露目会見を開き、先の東京での会見で注目された「2000億円への利益倍増計画」の根拠について、「システムインテグレーション、ネットワーク事業の大幅な伸長に加え、中国・欧州を中心とする海外向け携帯電話需要がさらに高まることが予想される」ことに加え、「さらなる資産圧縮による財務体質の改善」で利益確保につなげる意向を示した。
ただ、2000億円という具体的数字については、「2002年度の営業利益1000億円を2倍にしよう」という社内外に向けた目標として打ち出したもので、厳密な根拠はないとの認識を示した。
一部報道で伝えられた「公募増資の推進」については、「脆弱な株主資本を強化する選択肢として公募増資もあり得るということを述べたに過ぎない。NECとしてはあくまで自助努力による資産圧縮を推進して、市場の信頼を勝ち得ることが先決であることは言うまでもない」と強調した。
また、従来からコンピュータ技術とネットワーク技術の融合をテーマにしてきた同社が、今回、改めて新経営体制による事業戦略の目玉に「ITとネットワークの統合ソリューション展開」を打ち出したことについては、「コンピュータと通信の融合という従来からのNECのスローガンが技術ベースであったのに対して、これからは市場ニーズに対応したIT・ネットワーク統合ソリューションを提供することに全社挙げて邁進する」と述べ、従来のカンパニー制から事業ラインをベースにした新経営体制に移行したのもこのためであると説明した。
今年3月に上海広電と合弁会社を設立したカラーTFT液晶事業については、産業需要を中心としたハイエンド機をターゲットとし、また急拡大するカラーPDPについても主力メーカーとして事業拡大を進める方針。
しかし、今後の主力パソコンディスプレイとして期待の高い有機EL、さらにはFEDなど、世界のメーカー間で熾烈な先陣争いが行われている先端技術分野については「有機ELディスプレイの商品化は3年先、FEDなどはさらにその先の話」であるとして、新たな開発投資については言及を避けた。
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