デロイト トウシュ トーマツ、コンサル部門の分離を撤回

 監査企業のDeloitte Touche Tohmatsuは、コンサルティング部門のDeloitte Consultingを分離する計画を撤回した。米Enronの不祥事により、大手監査企業のコンサルティング部門が切り離される中、同社はこれまで通り監査とコンサルティングの両機能を提供することになる。

 Deloitte Touche TohmatsuがDeloitte Consultingの切り離しを発表したのは2002年の2月。同社は、Deloitte Consultingの提携先による買収を予定していた。しかし、金融市場が困難な局面であること、さらに経済情勢も不安定なことから、買収の話し合いを終了したことを明らかにした。

 Deloitte Touche TohmatsuのCEOであるJames Copelandは「今回の計画において、我々は最善の努力をした。しかし、社外の法律顧問や財務顧問の意見をもとに、現在の状況でコンサルティング部門を分離するのは賢明でないとの結論に至った」と語る。「Deloitte Consultingの分離を検討し始めたのは、コンサルティング/株式/金融の各市場が好調だった頃だ。過去14カ月の経済不振にイラク戦争が追い打ちをかけ、これらの市場は全てすっかり停滞してしまった」(Copeland)

 2001年、Enronで不正会計スキャンダルが発覚したが、これは米Arthur Andersenが監査とコンサルティングの両サービスをEnronに提供していたことが原因だった。この事件をきっかけに、監査機関からコンサルティング業務の分離を促す圧力が強くなっている。

 現在、Andersenの監査部門は閉鎖され、コンサルティング部門は米Accentureとして独立している。他にも、米KPMGのコンサルティング部門は米Bearing Pointとして独立し、米Ernst & Young'sは米Cap Geminiに、米PricewaterhouseCoopersは米IBMにそれぞれコンサルティング部門を売却している。今回Deloitte Consultingの分離を取り止めたことにより、大手会計企業でコンサルティング部門を独立させなかったのは、Deloitte Touche Tohmatsuただ1社となる。

 「Deloitte Consultingは今後も監査対象外のクライアントを基本に、多様な専門サービスを提供していく。Deloitte Consultingを始めとするメンバー企業は引き続き、2002年の米国企業改革法(Sarbanes-Oxley Act)や米証券取引委員会(SEC)の定める規則に完全に準拠する」(Deloitte Touche Tohmatsu)

この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。

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