より高速な無線LAN規格、IEEE 802.11g対応に慎重な姿勢をとる米Microsoftの判断が、市場シェア拡大の障害になるかもしれない。
Microsoftは、2002年9月にIEEE 802.11b対応の無線LAN製品群を発売して以来、順調に売上を伸ばしてきた。2003年1月時点の米国小売店における売上市場シェアは、金額ベースで13.5%、台数ベースで13%と2位を獲得していた。ちなみに1位は米Linksysで、金額ベースと台数ベースの市場シェアはそれぞれ51%と49.6%だった。
今年1月に、複数の無線LANメーカーが802.11bよりも高速な802.11g対応製品の販売を開始したのに対し、Microsoftは802.11gを採用しなかった。「まだ802.11gは正式に承認された規格でない」(Microsoft)ことがその理由だ。ところがこの判断が裏目に出て、2月の市場シェアは金額/台数ベースとも4位に落ちてしまった。
802.11bの最大通信速度が11Mbpsであるのに対し、802.11aと802.11gはこれを54Mbpsにまで高速化できる。802.11gの長所の1つは802.11bとの下位互換性である。ただし現在のところ802.11gはまだドラフト版で、IEEEによる正式版規格の承認は2003年6月の見込みだ。
Microsoftでは、IEEEの802.11g最終承認とWi-Fi Allianceの相互接続性確認を待ち、2003年後半に対応製品のリリースを計画している。これについてMicrosoftブロードバンドネットワーキング担当プロダクトマネージャーのTodd Greenbergは、「ドラフト版規格に基づいた製品は(正式版規格のリリースにより)数カ月で使えなくなってしまう恐れがある」と主張する。
事実、早い時期にリリースされた802.11gベースの製品には、802.11bベースの製品との間での相互接続性にいくつか問題が出ている。こうしたこともあり、Microsoftや米Hewlett-Packardなどのメーカーはドラフト版規格の採用を見送っている。いっぽうLinksysなど市場シェアの大きなメーカーは、市場シェア拡大を目指してリスクをとる選択した。今のところ、このリスクの元は取れているようだ。
「我々が予想した以上に802.11gの人気は高いようで、このことがMicrosoftにダメージを与えている」(米NPDTechworldアナリストのStephen Baker)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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