NECは、3月28日付けで社長に就任した、金杉明信新社長の就任会見を開催した。
すでに1月20日付けで社長交代が発表になっているだけに、冒頭、金杉新社長自身から、「とくにサプライズなニュースはありませんで、4月からの体制についてお話をさせていただく」という発言があり、新体制での方針を説明する内容となった。
経営課題としては、これまでの改革によりパソコンの黒字化など収益性の改善が進み、構造改革の進展については順調に進行しているものの、市況の悪化などが原因で株主資本の毀損が進んでいることから、(1)2003年度の利益倍増と株主資本の増強、(2)ITとネットワークの統合ソリューション展開とグローバルな事業発展による、成長戦略の確立を課題としてあげている。
財務体質改善のために、年金資産や繰り延べ税金資産などの問題については、「短期間でめどをつける必要がある」と今後1年での問題解決を示唆。その手段として株式の公募増資も検討する。
今年度の売り上げなど詳細については、4月24日に開催予定の決算発表で明らかにするとしているが、「営業利益については目標額である1000億円を100億円前後上回る実績となる見込み」とした。
03年度についても、「今年度1000億円の営業利益を倍増の2000億円とする」ことを掲げる。これを実現するために、SI事業の「堅調な成長」と海外でのグローバル展開、携帯電話の海外での展開を進める。
ネットワーク事業について、「一部雑誌ではネットワーク事業は崩壊傾向にあるなどと報道されているが、それは固定キャリア向けレガシーな交換機の話で、メトロネットワークのトランスポート、バックボーン事業などは非常に伸 長率が高く、2ケタに近い伸びを示している。さらに、海外でのモバイル端末の販売は5倍の2000数百億円の売り上げを目標とする」と、ネットワーク事業ではSI事業を上回る大きな伸長が見込めるとした。
新たな組織体制としてカンパニー制を廃止し、(1)ビッグローブ、パソコン、パソコン周辺機器などの「パーソナルソリューション事業ライン」、(2)モバイルキャリア向け事業の「モバイル事業ライン」、(3)「社会インフラ事業ラ イン」、(4)光関連、IP関連事業などを担当する「ブロードバンド事業ライン」、(5)コンピュータプロダクトを担当する「コンピュータ事業ライン」、(6)OS、基盤ソフトなどを担当する「ソフトウェア事業ライン」、(7)「システム ・サービス事業ライン」、(8)「業種営業事業ライン」、(9)通信およびコンピュータの営業、販売店支援などを行う「国内営業事業ライン」――の9つの事業ラインと、スタッフ部門とR&D組織の、「フラットな組織体」とした。
各事業ラインは、すべて損益責任をもち、あわせて構造改革の責任をもつ。従来のカンパニー制は、「半導体事業を分社化したことで、通信とITという2つの事業となり、さらにマーケットニーズがITとネットワークの両方求めるようになった。私自身、カンパニーの社長を3年勤め、いいところが色々あったとは思っているが、結果的に壁ができてしまったことも事実。ITとネットワークを融合するために、壁を取り払った」と、新体制でNECにとって最大の強みとするITと通信の融合に取り組んでいく。
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