日本IBMは、今年度のサーバー戦略についてプレス向け説明会を開催、「今年度は攻めの姿勢でビジネスを行い、シェアナンバー1を獲得する」(橋本孝之取締役・BP&ビジネスシステム・PC製品事業担当)と汎用機からパソコンサーバーまで含めた、トータルなサーバー市場でシェアナンバー1獲得宣言を行った。
橋本取締役は、「IDCの調査では、当社は富士通に続いて2位という結果で、非常によい位置にある。1位を獲得したのは記憶がないくらい前のことになるが、2003年は1位を狙いたい。ただし、それは利益重視戦略から転換するということではなく、ハードを販売することでサービス、ソフトの売り上げも付随する。シェアをとることでIBM自身のビジネスを拡大できる」と、サーバー製品のシェアが利益拡大につながるとの考えを示した。
具体的なシェア奪回策としては、(1)ウィンバック戦略、(2)e-ビジネスオンデマンドの2点をあげる。「ウィンバック戦略」とは、他社ユーザーの乗り換えなど新規ユーザー獲得を行うことを指す。昨年度からすでに他社ユーザーの乗り換え促進は勧めてきたが、「昨年はzシリーズ、pシリーズ、iシリーズなど、製品ライン別チームとなっていた。しかし、ユーザー側からすれば製品別ではなく、ストレージも含めた最適なものを勧めてもらった方が利便性が高い。今年は30人の専任部隊を設け、新規ユーザー獲得を目指す。人員については、さらに増員も検討する」と本格的に他社からのリプレースを行っていく。
個別製品としては汎用機であるzシリーズは、3月19日付けでLinux専用機を用意。zシリーズでは久々に最小構成で3700万円価格を表示するなど価格の安さをアピールし、「他社の汎用機を利用しているユーザーだけでなく、他社製UNIXを利用しているユーザーにとってもインパクトがある製品だと考えている。ただし、zシリーズがUNIX専用機になるという意味ではなく、汎用機とUNIXを使っている場合など、サーバー統合の際に大きな威力を発揮する。とくに国産メーカーとは違い、zシリーズでウェブシステムを動かしたり、オラクル9iがほとんど手をかけずに動くといったことも可能となるため、UNIXからのシフトが大幅に進んでいくのではないか」としている。
とくに国産汎用機ユーザーについては、「今後のロードマップが示されていないというのはユーザーにとっても不安は大きいはず。今年後半から、リース切れを迎えるマシンについてかなりの需要があるのではないか」と積極的に狙っていく意向を示唆した。
旧AS/400であるiシリーズは、「昨年の他社オフコンリプレースの件数は800件で、使い方としてもオープン系サーバーとして利用する例が増加するなど、オフコンプラス新たなサーバーとしてiシリーズを利用する例が増加している」と、新たな用途が生まれてきたとした。
UNIXサーバーのpシリーズは、「ミッドレンジからローエンドマシンについては、ユーザーにIBMのUNIX機は安いという感覚をもってもらうことが重要。ゲノムなどのサイエンス分野での利用については、昨年晴海トリトンスクエアにUNIXマイグレーションセンターをオープンし、他社からの置き換えの検証を行える施設を用意した」と、他社リプレースに自信を見せた。
パソコンサーバーのxシリーズは、「ウィンドウズNT4.1を利用しているユーザーが80万台存在するとされており、ブレード製品などを活用し、マイグレーションの支援を行っていく。7万9800円とセンセーショナルな価格帯の製品も出したことで、ユーザーにとってはインパクトがあるのではないか。また、Linuxを使うことでUNIXユーザーの置き換えビジネスも創出できる。とくにサン・マイクロシステムズのシステムについては、ほとんどコード変換なしに動作するため、ユーザーにとっては3−5割と大きなTCO削減が実現できる」と、従来からパソコンサーバーを利用しているユーザーに加え、UNIXユーザーの取り込みも進めていく。
また、他社のユーザーに対しては、「やはりパソコンメーカーがつくったサーバーと、サーバーメーカーがつくったパソコンサーバーでは質が異なる。スペック的に見て、明確な差別化が実現できているのでは」と品質面での優位性を強調した。
クライアントパソコンについては、「低価格機と高付加価値のハイエンド機の2極戦略で対応する。低価格製品についてはウェブを多用し、経費をかけずに販売していく。ハイエンド機は薄い、バッテリーが長時間もつといった製品群によりバリエーションを増やしていく」と説明した。
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