3Dチップメーカーの新興企業、米Matrixが新たに5200万ドルの投資を受けることが明らかになった。最初の製品リリースが遅れている中での追加資金となる。
今回Matrixに出資するのは、米TeleSoft Partners、欧州のBenchmark Capital Europe、米Integral Capital Partners、米Seagate Technologyなどのベンチャーキャピタル。なお、Matrixはこれまで1億4700万ドルに及ぶ投資を受けている。今年初めには任天堂も1500万ドル出資した。
Matrixが開発する3Dデータ記憶チップは、ポリシリコンとシリコン酸化物の層を重ねており、LCDパネルの構造と類似している。回路を垂直に積み重ねることで、チップの表面積の縮小を図る。1枚のウエハでより多くのチップを取ることができるため、大幅なコスト削減が可能だ。
また、Matrixの3Dチップは不揮発性のため、ホストコンピュータの電源を落とした場合にもデータを保持することができる。フラッシュメモリとは異なり、チップに一度書き込んだデータは削除できない。
Matrixはこの技術をデジタルカメラのフィルム形式やMP3プレーヤーのメディアタイプとして採用するよう、企業に売り込みを図っている。しかし3Dチップのリリースは大幅に遅れている。本来ならば最初の製品がすでに市場に出回っているはずだったが、技術面の問題により、今年後半までずれ込んでいる。
Matrixの3Dチップには、楽曲やデータがあらかじめ収録される。当初はブランクのチップが予定されていたため、例えばフランスのThomson Multimediaはユーザーが写真などの素材を記録できる、ブランクの3Dチップを搭載した拡張カードの販売を計画していた。しかし、あらかじめデータを収録するというこの方針変更は、顧客の要望に応えたものだとMatrixは説明している。「ブランクの3Dチップも後に市場に投入する予定だ」(Matrix創設者で米スタンフォード大学教授のTom Lee)
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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