複数の音楽出版社はドイツのBertelsmannに対し、同社が米Napsterに投資したことで大規模な著作権侵害を誘発したとして、訴訟を起こした。賠償請求額は少なくとも170億ドルにのぼる。
音楽出版社らはニューヨーク州の米連邦地方裁判所に提出した訴状の中で、「BertelsmannはNapsterへの出資戦略でファイル交換サービスの存命に協力し、著作権侵害件数の増加に加担したと主張している。また、BertelsmannはNapsterのサービスを停止する力があったものの、「Bertelsmann自身の営利のためにNapsterサービスを温存させた」と述べている。
2000年10月、Bertelsmannは子会社のBMG EntertainmentがNapster訴訟に加わっているにもかかわらず、同社に出資することを発表し、エンターテインメント業界を驚かせた。Napsterが度重なる訴訟で弱体化するにつれ、BertelsmannはNapsterを完全に買収しようとしたが、この買収計画は失敗に終わった。現在、ソフトウェアメーカーの米RoxioがNapsterの資産の大部分を所有している。
音楽業界はファイル交換サービスの撲滅を目指し、不断な努力を続けている。Napsterと米Aimsterに対する訴訟で、両社のファイル交換サービスを閉鎖させることに成功した。また、人気ファイル交換ソフトウェア、KaZaAを抱えるオーストラリアのSharman Networksなどの企業にも標的を定めている。
しかし、こうした努力にもかかわらず、ファイル交換サービスの利用は衰えることを知らない。フランスの市場調査会社Ipsosの発表によると、2002年、12歳以上の米国人の19%がファイル交換サービスを利用した経験がある。ティーンエージャーを対象に限った場合、その割合は50%にも拡大する。また、米国人の10%近くが過去30日以内に音楽をダウンロードしたと答えたという。これらの調査結果から、Ipsosは過去30日間に米国で約2000万人がインターネットから音楽を不法にダウンロードしたと推計している。
レコード業界とBertelsmannのBMG部門を含む音楽出版社は2年前、Napsterとの訴訟に勝訴している。2000年からNapsterに1億ドル近く出資してきたBertelsmannは今回、かつての原告仲間に追求される側にまわってしまった。音楽業界は独立系のファイル交換サービスを後援する企業の資産を狙っている。今後、同様の訴訟が起こる可能性がある。
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
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