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「小さい会社こそ、大きなことができる」 ―Movable Type開発者に聞く - (page 2)

川崎裕一(ネットイヤーグループ株式会社/Jnutella.org)2003年02月13日 10時06分
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Movable Typeのシステムについて聞かせてください。Movable Type の大きな特徴のひとつであるTrackbackシステムを思いついたきっかけは何ですか?

Ben:O'Reillyが主催するEmerging Technology Conferenceで話をしていたとき、自分たちのBlogを繋ぎ、かつプログラムによってその処理を自動的に行うためにはどんなシステムがいいかという話になったのです。

 以前のBlogシステムでは、ある人のエントリーについて他の人が自分のBlog内で語るときに、効果的な仕組みがありませんでした。Trackbackシステムとは、Blogの作者を繋ぐ仕組みなのです。

Trackbackシステム
他のBlogに投稿されたエントリーについてのコメントを投稿する際、そのコメントの件名とURLを自動的に相手のサイトに通知する仕組み。コメントの対象となったエントリーの下には受け取った通知(Ping)が表示され、読者はサイト間を移動しながらコメントを読むことができる。また、そのエントリーに誰かが関心を持っていることをBlogのオーナーに知らせることができる。

Trackbackシステムの仕様書のようなものは作らないのですか? 開発者は、仕様書があればTrackbackシステムを自分たちのBlogシステムに導入できると思うのですが。

Ben:Tracbackシステムの仕様書はMovable Typeのウェブサイトにあります。Movable TypeのTrackbackシステムは現在、Movable Type以外にも導入されています。例えばblosxomなどのBlogシステムにも取り入れられています。またTrackbackの導入に関してはオープンソース・ライセンスが適用されます。

Movable Typeのライセンス形態は、なぜGPL(General Public License、ユーザーがソフトウェアを変更、再領布することを認める)ではないのですか?

Mena:Movable Typeを自分たちのコントロール下に置いておきたいからです。

Ben:もちろん色々な人にMovable Typeを利用してもらいたいとは考えているのですが、ソースコードを誰かがいじって修正を加えた場合、そのバージョンのサポートも私たちが行わなければならなくなります。こういった事態を避けるためには現在のライセンス形態はどうしても必要だったんです。技術者には第三者によって修正されたバージョンとオリジナルバージョンの違いが分かりますが、初心者にはその違いが分かりません。

Mena:私たちは決してオープンソース・ライセンスに対抗しているわけではありません。でも私たちはそれほど資金の余裕があるわけではないし、自分たちで選択肢を持っていたい。そこでやはりライセンスは独自なものにしたかったというのが大きな理由です。

将来的にMovable Typeのビジネス展開はどのようなものになりますか?

Mena:3月頃に、初心者向けのホスティングサービスを開始しようと考えています。まだプレスリリースは出していませんが。

 ホスティングサービスは、Movable Type初心者のためのものです。Movable Typeをインストールしたりカスタマイズするのは面倒だけれども、Movable Typeを使いたいというユーザー向けに、誰でも使えるようなホスティングサービスを立ち上げます。サービス名は「Six Across」です。このサービスは新たな収益の柱になるでしょう。 Movable Typeは現在の無料バージョンと、有料バージョンの2つに分かれ、有料バージョンにはSix Acrossサービスを含むさまざまな機能が含まれることになります。

 その他の機能としては、例えばフォトアルバム機能が搭載されます。簡単にオンライン・フォトアルバムが使えるほか、Moblog(携帯端末を使ったBlog)をサポートします。米国ではカメラ付き携帯電話が普及していないこともあり、まだ携帯電話でBlogをするという動きは大きなものにはなっていませんが、そのうち広まると思います。もちろん、日本の利用者もサポートしますよ。

Six Acrossの料金はどのようなものになるのですか?

Mena:まだ決めていません。年額もしくは月額課金になると思います。また、価格は初心者、中級者、上級者向けなど、利用できる機能によって変わると思います。

Movable Typeのビジネスだけで生活していけますか?

Mena:ユーザーからの寄付とMovable Typeのサポート料で生きるのには十分なお金を稼げます。Movable Typeのビジネスを始めたときと同じだけの預金は確保することができましたし。今後は寄付とサポートに加えて、ホスティングサービスも収益源に加わると思います。

どのくらいのユーザーが寄付を行っているのですか?また、平均金額はどのくらいですか?

Mena:寄付をしてくれたユーザーは2千人くらいでしょうか。寄付には20ドル版と45ドル版があります。20ドルで、自分のBlogの更新をMovabletype.org上の更新リストに通知できる「鍵」が手に入ります。45ドルではさらに私たちから直接サポートを受けることができます。平均額は、大体35ドルくらいでしょうか。 他に150ドルの商業ライセンスがあります。ビジネスで利用した場合には商業ライセンスが適用されることになります。

どのような企業がMovable Typeをビジネス利用しているのですか? Jupiter Researchも使っているようですが?

Mena:米陸軍が軍人のリクルーティングの一環として、Movable Typeを利用しています。また、Jupiter Researchについては、彼らが商業ライセンスを支払っているかどうかはわかりません。商用ライセンスがきちんと支払われているかどうかを追いかけるのは非常に難しいことです。

投資家はいますか?

Mena:自給自足が基本なので、投資家は必要ありません。私たちはビジネスとして成長し続けられるかということを重視しています。だからこそ、安定した収入を生み出すホスティングというビジネスが重要なのです。

ホスティングサービスを行う場合、資金が必要になりませんか?

Mena:もちろん必要です。損益分岐点は最初の月で130人くらいでしょうか。ただ、2人で生活する分には(※編集部注:MenaとBenは夫婦)、1日10ドルくらいあれば十分です。

 沢山の人を雇い、大きすぎる建物に住んで、プロの料理人を雇うような生活は明らかにおかしいことです。もし自分たちにお金があっても、会社は小さいままにしておきたい。自分たちで会社を持つ上ではそれが一番の方法だし、小さい会社こそ、大きなことができると思っているからです。

日本市場におけるネオテニーとの関係性はどのようなものですか?

Ben:現時点では友好関係にあるとしか言えません。Movable Typeの日本語化に協力してくれたのもネオテニーです。

Mena:1月17日に行われた、日本のユーザーとのミーティングもネオテニーが活躍してくれた例です。もしネオテニーがいなければミーティングは開催されなかったでしょうから。

南:ネオテニーは、日本におけるMovable Typeのビジネス利用に関心があります。Movable Typeはナレッジマネジメントシステム市場においてとても可能性があると考えています。また、小さい会社がMovable Typeを使って自分たちの宣伝をすることもできます。小さなホテルチェーンやレストランチェーンなどには役立つでしょう。

携帯電話やPDAを使ったMoblogはBlogにどのような影響をもたらすのでしょうか?

Mena:米国ではまだカメラ付き携帯電話などは一般的ではありません。Moblogに関して言うと、大きな動きが最初に起きるのは日本だと思います。携帯電話を用いてどこでもBlogを作成し、公開できるのはとてもクールだし、面白いと思います。物事を瞬間的に捉えることができるのは驚くべきことですよ。例えばワールドトレードセンターの時も、カメラ付き携帯をみんなが持っていれば、あの事件に関するMoblogができたと思います。


インタビュアー略歴
川崎裕一
慶應義塾大学卒業後、シスコシステムズ株式会社に入社。2000年よりネットイヤーグループ株式会社にて、日米のインターネットビジネスモデルの調査・研究を行う傍ら、P2Pコミュニケーション、コンピューティングの可能性を探る Jnutella.org を設立、運営。

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