America Online(AOL)の会員数がここ数年で初めて落ち込んだ。2002年第4四半期の総会員数が、前期に比べて17万人減少した。先週行われた米AOL Time Warnerの2002年度決算発表で、ブロードバンドへの転換に乗り遅れて苦悩するAOLの姿が浮き彫りになった。
アナリストらは1年以上も前から、米国ではダイアルアップ接続加入者が減少すると指摘、そうした流れがAOLに深刻な打撃を与える可能性があると警告してきた。米国時間1月29日に発表した2002年通期の決算でAOL Time Warnerは、987億ドルの純損失を報告。その原因として、AOL部門の資金収支を伴わない特別会計費用が大きく影響を与えたことを明らかにした。また同社は、会長のSteve Caseに続き、副会長のTed Turnerが5月に辞任することも発表している。
米国では、ケーブル会社や地域電話会社が高速接続サービスの主導権を握っている。こうした中、ダイアルアップ接続を提供するISP各社は、他社プロバイダーのブロードバンド接続サービスに加入している利用者にも利用できるサービスを提供している。こうした工夫でブロードバンド化の流れに応えようとしているのだ。
会員の減少に危機感を募らせているのはAOLだけではない。米Microsoftは2002年第4四半期におけるMSNインターネット接続サービスの加入者伸び率を“ゼロ”と発表した。最新のMSN 8サービスに3億5000万ドルの広告費を注ぎ込んだにもかかわらず、900万人の加入者を維持したに過ぎなかったのだ。同社はこれについて「ターゲットを高額サービスの顧客に転換したことで、加入者数の伸び悩みを補った」と説明している。
そうした中、AOLも戦略転換を図るようだ。AOL Time Warnerの最高財務責任者Wayne Paceは先週行われた決算発表時に、「AOLの会員数を伸ばすことよりも、個々の会員からの収益性に注力していきたい」と述べている。
Kaufman BrosのアナリストのMark MayはAOLの会員減少について次のように指摘している。「ダイアルアップ接続サービス市場が飽和状態にあること、そして(AOLが)ブロードバンドサービスへの転換に遅れていることが理由だ。しかしそれだけではないだろう。同社は儲からない会員の切り捨てを行っている。会員減少はこうしたことの結果なのかもしれない」
この記事は海外CNET Networks発のニュースをCNET Japanが日本向けに編集したものです。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス