ソフトイーサとビビアンは10月30日、フィギュアを使った個人向けのモーションキャプチャシステム、「クーマ(プロジェクト名)」の試作品を公開した。
ゲームや映像など、幅広い分野で利用される3DCG。その製作は3Dのキャラクターなどの形状を作り上げる「モデリング」と、モデリングした物体に動作をつける「モーション作成」の大きく2つに分かれる。
ソフトイーサらによると、モデリングについては、ハードウェアやソフトウェアの進化もあり低コスト化が進む一方、モーション作成の製作コストは10年前と大差がないというのが現状だという。
通常、モーションの作成には、スタジオを用意し、役者の演技を撮影してデータとして取り込む「モーションキャプチャ」や、3DCGの制作ソフトでマウス操作や細かなパラメータ設定をしてポーズを作り込むといった方法をとる。しかし、前者はスタジオのレンタル費用や人件費をはじめコスト負担が大きく、後者はポーズの細かな調整のために、時間がかかってしまうという問題があったのだという。
これを解決するべくソフトイーサらが開発するのがクーマだ。クーマでは、PCにUSB接続されたフィギュアにポーズをつけると、連動してソフト上の3DCGモデルがフィギュアと同じポーズをとる。これで複数のポーズを記録しつなげていくことで、手軽にモーションを作成できる。
今回発表された試作機は、USB接続されたマイコン基盤と、12自由度(関節の自由に運動できる方向の数)のクマ型フィギュアを接続した物。原価は3000円程度だという。配線などはむき出しだが、製品版については外見も大きく変更し、基盤をフィギュア内に入れるなど配線の簡略化も図る予定。製造コストについては、「48自由度程度のものでも、ロット数が増えれば原価3000円程度で供給できる」(両社)としている。
両社では今後、3DCGやアニメーションの制作ソフト向けに、クーマでの入力をサポートするプラグインを提供していく考え。まずは低コストでのゲーム開発を手掛けるソフト会社や、3DCGを利用したマンガ・アニメーション製作者などに製品を提供することで、認知度の向上を図るとしている。製品版は「1年以内をめどに提供する」(両社)見込み。
ソフトイーサは3500社以上の導入実績を誇るVPNソフト「PacketiX VPN」などを提供する2004年設立の筑波大学発のベンチャー企業。設立5年を迎えた同社では、新分野の事業展開に向けた研究開発を積極的に進めているが、クーマもその一環となる。
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