シリコンバレーの雨期はほぼ終わり、ここ2週間は25度を記録する暑い日もあるなど、季節の変化を感じる。そんな時期になると、いろいろなベンチャーや新しいアイデア、技術を紹介するイベントが近辺で開催される。
ゲーム開発者のイベント、インキュベーションの新規案件紹介イベント、投資銀行主催のベンチャー紹介イベントなど多岐にわたるイベントは、新しいアイデアに触れ、おもしろい会社に出会えるいい機会だ。ここで最近噂になった会社やその会社に関する話題を紹介させてもらう。
地元サービスのギャザリングを提供しているGrouponは、2010年の売上げが1億ドルを超えるとの噂もある急成長の注目ベンチャーだ。同社のサイトを見ると、1日1件のスペシャルディールと呼ぶ地元のレストラン、ネイルサロン、旅行ツアー、免許などの割引クーポン情報を紹介している。そしてそのクーポンの購入希望者が一定の人数に達した時点で、取引成立となりクーポンの利用が可能となる。お得なディールの紹介にギャザリングの要素を加えたサービスである。
3〜5割引の超ディスカウントのクーポンを購入できるということで、同社のメールマガジンには300万人の購読者がいると言われており、人気のクーポンは数分で完売するケースもあるという。
このような超破格値を達成できるのは、平日のレストランのように、お客がなかなか入らない時間帯や閑散期にお客を誘導するためのツールとして利用されているからだ。そのため、クーポンには期限や利用できる時間帯などいろいろな設定ができる。また、クーポン購入者が来店すると、クーポン価格の半分(100円のクーポンなら50円)を追加で支払うというデータもあり、レストランにとっても追加収入が期待できる。50%のディスカウントで売っても、来客による追加売上げのため実際は25%引きのような扱いになる。
また、クラウドにデータが集中することにより、生まれてくるサービスもある。Zmandaは中小企業がクラウドを利用する際のサポートサービスのひとつとして関心を集めている会社である。同社は、MySQL向けデータバックアップソフト/サービスを中小企業向けに展開するところからスタートした。そして最近では大手クラウドサービス会社と提携し、Zmandaを利用してデータのバックアップや災害対策をクラウドで行うことを提案した。
データをクラウドにアップするためのセキュリティ対策は十分であり、またクラウドにデータを置くことにより、新しいサービス展開もはじめられる。たとえば、データにアクセスするためのAPIを提携するデータ分析/解析SaaSベンダーにオープンすることにより、クラウドの計算能力やデータ容量を使って各種データ解析/分析を中小企業に安く簡単に提供できるようになる。このようにデータをクラウドに集めることで、新しいサービス展開が始まりそうに感じる。
最後に、「Internet of Things」という言葉を紹介したい。最近、米国の著名ブログなどで話題になっているこの言葉、直訳すると「物のインターネット」と分かりにくいのだが、IBMのSmarter Planetという研究チームが作った5分のビデオがYouTubeにあるので、こちらをご覧頂きたい。
データというものは、今まで地球上のあらゆる場所にあったが、それをコミュニケートして伝える手段が限定的であった。しかしインターネットの爆発的な広がりとセンサーのコストが下がり精度が高まることによって、人間から自然界、モノなどがつながり、地球がひとつの神経システムで覆われるような形になってきた。
そこでたとえば、スケジュールや天気、電車の運行状態などいろいろな情報を組み合わせて、目覚まし時計の時間を変更するなど、もっと生活の中でこれらが融合して便利なサービスが生まれてくるというのがこの言葉の意味だ。我々もセンサーがいろいろなところに広がることにより、インターネットがソーシャルネットワークだけでなくグローバルな人、モノ、自然界をつなげるネットワークになっていくと考える。実際にそれを実現しようとしているベンチャーも登場しており、今後注目が集まるエリアと考える。
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