鳥取県情報センター(TIC)とケー・オウ・エイ(KOA)、および日本IBMの3社は8月2日、総務省のICTふるさと元気事業に採択された「Webアクセシビリティ・クラウドセンター構築による公共ウェブサイト・アクセシビリティ向上事業」に着手したと発表した。まず、鳥取県庁のウェブサイトを対象に、アクセシビリティ実現の試みに取り組んでいくという。
同事業で3社は、ウェブページ利用者であるユーザーとウェブサイトのオーナーの協働を可能にする「アクセシビリティ向上システム」を活用して、発見されたホームページ閲覧上の不具合や改善要望を、今回新たに構築する「Webアクセシビリティ・クラウドセンター」に蓄積。その情報を活用して実際のホームページの内容に変更を加えることなく、アクセシビリティ上の問題点を短時間で改善していく「ユーザー参加型アクセシビリティ向上サイクル」を実現していくものだという。
アクセシビリティ向上システムは、視覚障がい者が、ホームページに図や画像で表示されている情報が理解できないなどの不具合を簡単な操作で報告すると、修正担当者が理解を助けるための補助情報(メタデータ)を付加し、Webアクセシビリティ・クラウドセンターに保管する。保管後、同じページにアクセスすると、付加された補助情報がIBMのマッシュアップ技術によって自動的に読み込まれ、ウェブページに掲載されている情報が理解できるようになるという。また、地方公共団体が作成した膨大な量のウェブページのアクセシビリティ対応状況やJIS X 8341-3(高齢者・障害者等配慮設計指針)への準拠を自動評価する機能、ユーザーが情報アクセシビリティ上の問題点を報告する仕組み、さらに問題点を即座に修正するツールを組み合わせた機能も装備する。これにより、実際のウェブページの内容に変更を加えることなく、短時間でウェブページを改善できるとしている。
同システムは、日本IBM東京基礎研究所が2008年に開始したインターネット上で一般のユーザーと視覚障がいを持ったユーザーが協働してウェブページのアクセシビリティを向上させるための試みである「Social Accessibilityプロジェクト」を通して得た知見とアクセシビリティ技術を活用して構築されるという。
Webアクセシビリティ・クラウドセンターは、TICデータセンターに新設し、運用される。TICは、障がい者と共同でアクセシビリティ向上システムが提供するツールを活用して補助情報作成業務を実施できる人材育成を行い、障がい者や高齢者の新たな知識・ノウハウの習得や雇用機会の創出に取り組む予定としている。
CNET Japanの記事を毎朝メールでまとめ読み(無料)
ものづくりの革新と社会課題の解決
ニコンが描く「人と機械が共創する社会」
ZDNET×マイクロソフトが贈る特別企画
今、必要な戦略的セキュリティとガバナンス