日本オラクルは7月27日、統合システム管理ソフトウェア「Oracle Enterprise Manager 11g(Oracle EM 11g)」の提供を開始した。
米Oracleでシステムズ・マネジメントバイスプレジデントを務めるSteve Wilson氏は、Oracle EM 11gについて「ビジネス主導型IT管理を提供する初の製品。個々のサーバ、ストレージ、アプリケーションを管理するのではなく、統合的な管理により、真の可視性を実現することになる」と説明する。
同製品は、企業の情報システムを構成するパッケージアプリケーションからミドルウェア、データベース、オペレーティングシステム、仮想化、ハードウェアまでの各レイヤにおいて、複数のツールを用いることなく、統合された簡素な管理環境を実現している点が特徴となる。Oracle Applications、Oracle Fusion Middleware、Oracle Database、Oracle Solaris、Oracle Enterprise Linux、Oracle VM、Sun Serversを管理するツールを含む、完全なオラクルスタックの管理を実現するという。
「Enterprise Managerは、当初データベースマネジメントツールとしてスタートしたが、新たなスタックの広がりにあわせて拡張してきた。新たなOracle EM 11gは、アプリケーションからディスクまでの統合された管理により、IT投資の価値を最大化するのに加え、オラクルのサポートおよび広域なオラクルのコミュニティとの知識共有により、効率的なIT運用を実現する。さらに、ITの業務優先事項に対して、より迅速な応答を可能にする」(Wilson氏)
同製品の特長は、「ビジネス主導型アプリケーション管理」「統合されたアプリケーション・トゥ・ディスク管理」「統合されたシステム管理とサポート」の3点に集約される。
ビジネス主導型アプリケーション管理では、ユーザー体験監視、ビジネストランザクション管理、ビジネスサービス管理の3つの機能を連携したソリューションを提供する。主要機能となる「Oracle Real User Experience Insight」の最新版(バージョン6.5)では、実業務および統合的業務と、「Siebel CRM」「Oracle E-Business Suite」およびJavaベースのアプリケーションの動作状況と稼働統計に単一のコンソールからアクセス可能になっている。さらに、ビジネストランザクション管理、ビジネスサービス管理などの機能により、ユーザー体験管理を実現できるという。
また、統合されたアプリケーション・トゥ・ディスク管理では、各層において組み込まれたベスト・オブ・ブリードの管理性を実現する。サン・マイクロシステムズの買収によって、「Ops Center」が新たに追加され、これにより、インフラストラクチャ層にまで管理の範囲が拡大した。Enterprise Manager Ops Centerは、Sunの物理システム、仮想システムからファームウェアまでを管理する唯一のソリューションとなり、Solaris、Linux、Windowsに渡る包括的な管理が可能になるという。
さらに、統合されたシステム管理とサポートにおいては、「Oracle Support Services」と統合。My Oracle Supportプラットフォームにより、プロアクティブな助言コミュニティとの交流などを通じた活用も可能になる。My Oracle Supportは、年末にかけて対応範囲を拡張していく予定という。
日本オラクル常務執行役員、テクノロジー製品事業統括本部長の三澤智光氏は、「オラクルのソフトウェアビジネスは、ビジネスアプリケーション、データベース、ミドルウェア、マネジメントソフトウェアの4つの柱があるが、マネジメントソフトウェアが最も成長が速い領域。現在、一般的な運用管理ツールで提供されているのは、OSレベルでCPUやメモリ、ディスクI/Oを監視しており、いわばデータベースの死活しか監視していない。死んだ状態になり慌てて対応することになる。しかし、本来は、人間の健康状態のチェックのようなヘルスチェックが必要であり、データベースレベルでCPUやメモリ、ディスクI/Oを監視し、リアルタイムな問題分析と解決を行わなくてはならない。日本における0racle Databaseのユーザーは、バージョン8や9が多く、データベースシステムマネジメントもそのレベルに留まっている。この進化を訴求してこなかった反省がある。ユーザー部門の要求に応えるには、IT部門はデータベースシステム運用管理の認識から変える必要がある。今回の製品により、データベースシステム運用管理を進化させ、ビジネス要求に応えるITを実現する」とした。
なお、Wilson氏は、2012年に投入予定のOracle EMの次期バージョンにおいて「クラウドに対応した機能を追加していく」ことも明らかにした。
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